相談
「勉強は子どもに決めさせなさい」と言われますが、うちの小学6年生の息子は、放っておくとゲームばかりです。決めさせたら、ゲームしかやらない気がします。好き放題にさせるのと、何が違うのでしょうか?
塾長の聞き返し
息子さんは、ゲームをしているとき以外に、勉強について何か言うことはありますか? たとえば「テスト、やばい」「ここ、わからない」といった言葉です。
言うことは、あります。「わからない」とはたまに言います。でも、そのあとは、またゲームです。
塾長の答え
1. 「決めさせる」と「好き放題」は、どちらも違います
先に、はっきり言います。「子どもに決めさせる」のも、「好き放題にさせる」のも、ことばこのやり方ではありません。
ことばこでは、何を、どのように、いつ、どれだけやるのか、こちらが決めます。 そして、なぜそうするのかを説明して、お子さんに納得してもらいながら、進めます。納得してもらえないまま、押しつけることはしません。
では、お子さんが決めるのは、何か。来るか来ないか。やるかやらないか。 そして、「これくらいなら、納得してやれる」という、自分の範囲です。
「決めさせたらゲームばかりになる」という心配は、この「何を決めさせるか」を、広く考えすぎているところから来ています。学習の中身まで、子どもに丸投げするわけではありません。そこは、教える側の仕事です。
2. 最初に、何も聞かずに始めます
ことばこでは、ゲームばかりしたがる子にも、最初に何かを聞くことは、特にありません。
「じゃあ、これやってみて」と、プリントを何枚か渡します。やってもらって、「ここは、よくできてるね」「ここは、ちょっとつまずいたね。じゃあ、次はこれをやってみようか」と進めます。いきなり、始めます。
なぜか。勉強ができるようになりたい、と思っていない子はいないと、私は考えているからです。そこは確認する必要がありません。やる気がある前提で、最初から考えています。
もちろん、お母さんは「うちの子は違う」と思われるかもしれません。それなら、一度、連れてきてください。実際に、やってみてください。
私は、12年やってきて、「やる気のない子」には、出会ったことがありません。やりなさいと強制され続けて、気持ちが歪んでしまっている子であれば、事情が違うかもしれません。でも、そこまでの子は、これまで、いませんでした。基本的に、塾に来てくれさえすれば、「じゃあ、これやってみて」で、みんな取り組みます。
ゲームばかりしたがる子でも、勉強をやりたくない子は、いないのです。
3. 親の期待どおりの量には、ならなくていい
ただし、お母さんが望んでいるところまでやるか、というと、それは別です。
子どもは、その子なりに納得している範囲で、やります。「これくらい頑張りたい」「これくらいできるようになりたい」という範囲です。そして、その範囲は、だんだん伸びていきます。みんな、もっとできるようになりたい、という思いを、必ず持っているからです。
ただ、そのスピードが、親の期待に合うかどうかは、別の問題です。
でも、それだと、遅いんじゃないですか?
遅く見えることはあります。でも、親の期待が先に走って、口出しが先に出ると、その子が持っているものを、損なう恐れがあります。
もちろん、それでもできてしまう子はいます。でも、そういう子は、そんな関わり方をされなくても、できたはずです。つまり、邪魔をされても、なお、できたということです。
本人が望んでいて、理解しているペースを超えて、親が先にやらせようとし続ければ、一時的には、うまくいくこともあります。でも、長い目で見れば、それは邪魔だと、私は思います。たくさんの子どもを見てこないと、なかなか実感しにくいことかもしれません。
4. 「叱られたおかげで、今がある」という声
「自分は、叱られながら嫌々やったけれど、そのおかげで、今がある」という人もいます。
その方の努力は、本物です。ただ、私は、こう思います。叱られずにやっても、できていましたよ。 叱られて頑張ったから今がある、のではなく、頑張る力がもともとあったのです。
5. ご家庭でできること
ここまで読んで、「ことばこに通わないと無理なのか」と思われたかもしれません。そうではありません。ご家庭でできることは、あります。
- ゲームの時間は、家族の話し合いで決める。守れなかったら、叱るのではなく、「どうしようか」と話す(第6問)
- 勉強の中身や量を、親が細かく決めるのをやめる。できる範囲のものから、一つだけ手渡す
- お子さんが「わからない」と言ったときは、頼まれた範囲で手伝う
ただ、「何を、どのように、いつ、どれだけ」を、ちょうどよく決めるのは、正直、難しいです。第4問で書いたとおり、そこは、塾に任せるのも、一つの手です。
最後に
今日からできることは、三つです。
- 「やる気がない」と決めつけず、やる気がある前提で、関わってみる
- 親の期待の量ではなく、お子さんが納得している範囲を、見てみる
- 口を出す前に、一つだけ、できそうなことを手渡す
勉強ができること以上に大事なのは、「自分には、課題を乗り越えていける力がある」という自信です。アドラー心理学では、この力を支えることを「勇気づけ」と呼びます。
決めさせるか、やらせるか。その二択ではありません。やる気がある前提で、そばにいる。 それが、いちばんの近道だと、私は思います。
塾長コラム ─ 学習塾ことばこ 塾長(国語科教員10年・学習塾個別指導12年)