中学1年 国語科 教材別テスト⑤ 模範解答・解説
「大人になれなかった弟たちに……」(米倉斉加年)/光村図書『国語1』
【このテストの使い方】 本文は載せていません。教科書『国語1』の「大人になれなかった弟たちに……」のページを開いたまま解答します。この作品は、作者自身の戦争体験をもとにした回想の文章です。登場人物の行動から気持ちを読み取る練習に向いた教材なので、記述問題が多めになっています。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問)1点×20=20点
二語句の知識(語の意味・慣用句・対義語・部首名・熟語の組み立て)2点×7=14点
三文法(品詞の識別)2点×8=16点
思考・判断・表現
50点
四「大人になれなかった弟たちに……」の読解50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 八つの品詞(名詞・動詞・形容詞・形容動詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞)を見分けられるか。
② 「ミルクを飲んでしまった」という行動に表れた「僕」の後ろめたさを言葉にできるか。
③ 母の行動・ことば・泣かなかったことから、言葉にされていない気持ちを読み取れるか。
④ 題名の「たち」と「……」という、二つの小さな表現のもつ意味に気づけるか。
⑤ この作品が回想(大人になった「僕」が語る形)で書かれていることを理解しているか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①そかい⑪平和
②せんとう⑫避難
③くうしゅう⑬配給
④ぼち⑭体力
⑤なげく⑮涙
⑥あわれむ⑯看病
⑦あわてて⑰覚える
⑧さとう⑱静かな
⑨いこつ⑲姿
⑩おだやかな⑳故郷
小計 20点
【注意したい字】 ①「疎開」の「疎」は「そ」。「疏」と書かないこと。⑥「哀れむ」と⑦「慌てて」は、どちらも「あわ」で始まるので読みを混同しやすい。⑤⑥⑦⑩の読みは、送りがなの部分まで書いて正解(「なげ」「あわ」だけでは×)。⑫「避難」の「避」はしんにょう。「遊難」「辟難」に注意。⑮「涙」はさんずい+戻。⑯「看病」の「看」は「手+目」。⑳「故郷」は「こきょう」。「ふるさと」と読んでしまう誤りが多い。
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二 語句の知識 (2点×7=14点)
番号解答解説
(1)イ「疎開」=空襲などの危険をさけて、都市の人や物を地方へ移すこと。この作品の背景を理解するうえで欠かせない語。
(2)ア「栄養失調」=必要な栄養がとれず、体が弱ってしまうこと。弟の死の直接の原因。
(3)エ「胸がつまる」=感情が高まって言葉が出なくなる。食べ物がのどにつまる意味ではない。
(4)ウ「言葉を失う」=おどろきや悲しみのあまり何も言えなくなる。(3)と似ているが、より「あっけにとられる」感じが強い。
(5)満腹空腹 ⇔ 満腹。
(6)こころ「悲」の部首は「心」。下にあっても部首名は「こころ」。「したごころ」は「㣺」(慕・恭など)の呼び名なので×。「れんが」は「灬」なので×。
(7)ア「生死」=生と死で反対の意味の組み合わせ。「高低」が同じ。イ岩石は似た意味、ウ読書は目的、エ白線は修飾の関係。
小計 14点
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三 品詞の識別 (2点×8=16点)
番号──線部解答解説(見分け方)
(1)美しい形容詞言い切りの形が「〜い」。性質・状態を表す。
(2)きれいな形容動詞言い切りの形が「〜だ」(きれいだ)。「〜な」の形で名詞を修飾する。
(3)ゆっくり副詞主に用言(動詞など)を修飾し、活用しない。
(4)手紙名詞物や事がらの名前。「が」「を」などをつけて主語にできる。
(5)しかし接続詞前後をつなぐ。それ自体では文の中身を表さない。
(6)この連体詞活用せず、名詞(体言)だけを修飾する。「この・その・あの・大きな・ある」など。
(7)ああ感動詞感動・よびかけ・応答を表し、独立語になる。
(8)笑っ動詞言い切りの形が「〜う(ウ段)」(笑う)。動作を表す。
小計 16点 / 知識・技能 合計 50点
【品詞を見分けるコツ】 ① 活用するか(動詞・形容詞・形容動詞は活用する)。② 何を修飾するか(連体詞=体言だけ/副詞=主に用言)。③ 言い切りの形で判断する(〜う=動詞/〜い=形容詞/〜だ=形容動詞)。「きれいな」を副詞、「ゆっくり」を形容動詞とする誤りが多い。
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四 「大人になれなかった弟たちに……」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
4点
ウ空襲・疎開・配給といった語から、太平洋戦争の末期〜終戦直後であることがわかる。
(2)
2点
ヒロユキカタカナで正しく書けていれば2点。漢字で書いたものも、教科書の表記と合っていれば正答とする。名前は本文中に何度も出てくるが、答えは同じなので問題ない。
(3)
4点
(例)こっそり飲んでしまった。(12字)「自分が飲んだ」という内容が書けていれば4点。「少し飲んだ」「何度も飲んだ」など量のちがいは問わない。「捨てた」「こぼした」は0点。十五字を超えたら−1点。
(4)
6点
(例)母にしかられるのがこわく、弟にすまないと思っていたから。(28字)「しかられるのがこわい/言い出しにくい」(3点)+「弟に悪いことをしたという後ろめたさ」(3点)の二点で採点。「忘れていたから」は0点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(5)
4点
ア母は「ヒロユキは幸せだった」と言い聞かせるように言いながら、弟をひつぎに入れるときに初めて泣いた。言葉と涙の落差から、悲しみをおさえて死を受け止めようとしていたことが読み取れる。イ・ウ・エは本文から読み取れない。
(6)
6点
(例)弟をうしなった深い悲しみを、こらえきれずにいる気持ち。(27字)「悲しみ・つらさ」(3点)+「こらえきれない/あふれ出てしまう」または「やせ細った弟への痛み・後悔」(3点)の二点で採点。
母の様子をそのまま書き写しただけ(例「ひつぎを見た」)のものは0点。気持ちの言葉になっていることが条件。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(7)
4点
ウ母は、残された家族を支えるため、弟をひつぎに入れるときまで涙を見せなかった。ア「悲しくなかった」は明らかな誤り。
(8)
7点
(例)戦争で大人になれずに死んだ子どもが、ほかにも大勢いたから。(29字)「自分の弟だけではない」(4点)+「戦争のために大人になれず亡くなった子どもが多くいた」(3点)の二点で採点。
「弟が何人もいたから」と人数の話にしてしまったものは0点。弟一人の話から、戦争で命を落としたすべての子どもへ広がっていることに気づけているかが分かれ目。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(9)
4点
ア「……」(リーダー)は、言葉にならない思い・余韻を表す記号。語りかけが今も続いていることも示している。
(10)
4点
エこの作品の主題。戦争で最初に犠牲になるのは、幼い子どもや母親といった弱い立場の人であるという訴え。ア〜ウのような「教訓話」ではない。
(11)
5点
ア・イ・エウ…「僕」は弟の分のミルクを飲んでしまっており、いつも分けてあげていたわけではないので×。オ…戦争が終わってもすぐに生活は楽にならなかったので×。ア・イ・エの三つそろって5点(完答)。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
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【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. この作品は回想。語っているのは、大人になった「僕」である。
  2. 弟の死の原因は空襲ではなく栄養失調。戦争が「食べ物をうばった」ことによる死。
  3. 「僕」がミルクを飲んだ場面は、単なる失敗談ではなく一生消えない後ろめたさとして書かれている。
  4. 母の「ヒロユキは幸せだった」は、悲しみをおさえて死を受け止めようとする言葉。この後に初めて涙を見せる点とセットで読む。
  5. 母が泣かないのは、悲しくないからではなく強くあろうとしているから。行動と気持ちが逆向きになる場面。
  6. 題名の「たち」で、話は弟一人から、戦争で死んだ子どもたち全体へ広がる。最大のポイント。
  7. 「……」は、言葉にしきれない思いと語り続ける姿勢を表す。
  8. 気持ちを問う記述では、行動をなぞるだけでは0点。「〜という気持ち。」の形でまとめること。
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