中学1年 国語科 教材別テスト⑨ 模範解答・解説
「今に生きる言葉」(故事成語・漢文「矛盾」)/光村図書『国語1』
【このテストの使い方】 教科書の本文(現代語訳・脚注・解説)は載せていません。教科書『国語1』の「今に生きる言葉」のページを開いたまま解答します。大問四の【資料】には、著作権の切れている『韓非子』の白文の冒頭と書き下し文だけを示しました。この教材は、①漢文を訓読する決まり(白文・訓読文・書き下し文/返り点・送り仮名)と、②故事成語を意味まで理解して使う力の二本立てで出題するのが基本です。暗記だけで終わらせず、「矛盾」の話のどこが食いちがっているのかを自分の言葉で説明できるかを確かめてください。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(読み10問・書き10問)1点×20=20点
二故事成語(意味の選択5問・短文の空欄4問)2点×9=18点
三漢文の基礎(白文・書き下し文/返り点/送り仮名/故事成語とは)2点×6=12点
思考・判断・表現
50点
四「矛盾」の読解と故事成語の活用50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 白文・訓読文・書き下し文のちがいを区別できるか。
② 返り点(レ点・一二点)にしたがって、漢文を読む順序を正しくたどれるか。
③ 「矛盾」の話の中で、商人の二つの自慢が同時には成り立たないことを説明できるか。
④ 故事成語を意味まで理解して、短文の中で正しく使えるか。
⑤ 二千年以上前の話が、なぜ今も生きた言葉として使われているのかを考えられるか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①むじゅん⑪辞典
②するど(い)⑫武器
③しょうにん⑬関係
④じまん⑭広告
⑤ゆらい⑮主張
⑥くんどく⑯疑問
⑦すいこう⑰争う
⑧しんちょう⑱確かめる
⑨つらぬ(く)⑲補う
⑩ほこ(らしい)⑳利益
小計 20点
【注意したい字】 ・①「矛盾」は、この教材の中心となる語。「矛」は縦画をつき出して書く五画の字。「予」「矢」と書きまちがえない。「盾」の下の部分は「目」。「循」「順」との混同に注意。
・送りがなまで必要な問題…②「鋭い」、⑨「貫く」、⑩「誇らしい」(読み)、⑰「争う」、⑱「確かめる」、⑲「補う」(書き)。「争そう」「確める」「補なう」は×。送りがなのない「争」「確」「補」も×。
・⑥「訓読」は「くんどく」。「くんよみ」と答えたものは×(「訓読み」とは別の語)。⑦「推敲」はむずかしい字なので読みのみで出題。⑧「慎重」は「しんちょう」。「しんじゅう」などと書いたものは×。
・⑫「武器」の「器」は点を忘れない。⑬「関係」の「関」は門がまえ。⑳「利益」は「りえき」。「りやく」と読まないこと。
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二 故事成語 (2点×9=18点)
番号解答解説
(1)ア五十歩百歩(『孟子』)…五十歩逃げた者が百歩逃げた者を笑っても、どちらも逃げたことは同じ。「少しはちがうが、本質は変わらない」。「よい意味で差がある」ととるのは誤り。
(2)イ蛇足(『戦国策』)…蛇の絵に足をかき足して負けた話から。「余計なつけ足し」。ウの「始める前の準備」は蛇足とは無関係。「蛇足」と(9)の画竜点睛(大切な仕上げ)は正反対の意味なので取りちがえに注意。
(3)エ漁夫の利(『戦国策』)…シギとハマグリが争っているところを漁師がまとめて捕らえた話。第三者が利益を得る点が要。ウの「助け合って得をする」は別の意味。
(4)ア四面楚歌(『史記』)…項羽が、四方から故郷の楚の歌を聞き、味方がいないことを知った話。「にぎやか」ではなく孤立を表す。
(5)ア推敲…詩の一字を「推す」か「敲く」か迷った話から、文章を何度も練り直すこと。字をきれいに書く意味ではない。
(6)ア(杞憂)杞憂…杞の国の人が「天が落ちてくる」と心配した話。必要のない心配。「心配していたが何も起こらなかった」という文脈に合う。
(7)イ(背水の陣)背水の陣(『史記』)…川を背にして陣を張り、退路を断って戦ったこと。もう後がない覚悟。
(8)ウ(呉越同舟)呉越同舟…敵対する呉と越の人が同じ舟に乗り合わせること。仲の悪い者が同じ場に居合わせる/協力せざるをえないこと。
(9)エ(画竜点睛)画竜点睛…竜の絵に最後に瞳(睛)を入れると竜が飛び去った話。最後の大切な仕上げ。「画竜点睛を欠く」で「仕上げが足りない」。使われなかったオ「朝三暮四」は「目先の違いにこだわって、結果が同じであることに気づかないこと」。
小計 18点
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三 漢文の基礎 (2点×6=12点)
番号解答解説
(1)ア白文=漢字だけの、何も手を加えていない漢文。「楚人有鬻盾与矛者」の形。
(2)ウ書き下し文=訓読文を、漢字と仮名で日本語の文として書き改めたもの。「楚人に盾と矛とを鬻ぐ者有り。」の形。白文に句読点・返り点・送り仮名をつけた段階が訓読文(イ)。
(3)①→③→②レ点は「すぐ下の一字を読んでから、その字にもどる」しるし。「我 読〈レ〉 書」=「我 書を読む」。①我→③書→②読の順。順序を「①②③」としたものは×。
(4)①→③→④→②一二点は、二字以上へだてて上の字にもどるときに使い、「一」のついた字を読んでから、「二」のついた字にもどる。「我 読〈二〉 漢 文〈一〉」=「我 漢文を読む」。①我→③漢→④文(一)→②読(二)の順。レ点((3))は一字だけ下から上にもどる場合に使う、というちがいもおさえる。
(5)送り仮名訓読文で、漢字の右下に小さく片仮名で書き添える仮名。「有リ」「読マズ」の「リ」「マズ」など。助詞・助動詞・活用語尾を補い、日本語として読めるようにする。「おくりがな」とひらがなで書いたものも正答とする。「ふりがな」「返り点」は×。
(6)ア故事成語=中国の古典などに記された昔の出来事・物語(故事)から生まれ、今も使われている言葉。単なる二字熟語(ウ)や現代中国語の翻訳(エ)ではない。
小計 12点 / 知識・技能 合計 50点
【返り点の読み方を確認するコツ】 ① 上から順に読み、返り点のついた字はいったん飛ばす。② 飛ばした字は、レ点ならすぐ下の一字を読んだ直後、一二点なら「一」のついた字を読んだ直後に「二」の字へもどって読む。③ 迷ったら、書き下し文の語順(日本語の語順)と見くらべる。「漢文を読まず」の「を」「ず」が送り仮名にあたる。
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四 「矛盾」の読解と故事成語の活用 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
3点
ア「能く陥すもの莫し」=「突き通せるものはない」。盾の側からの自慢で、堅さにおいて並ぶものがないという意味。イ〜エは資料のどこにも書かれていない。
(2)
3点
ア「物に於いて陥さざる無し」=「突き通せない物はない」。二重否定なので、強い肯定(=どんな物でも突き通す=鋭さに並ぶものがない)になる。イ〜エは資料のどこにも書かれていない。
(3)
5点
(例)あなたの矛であなたの盾を突いたらどうなるのか。(23字)「商人自身の矛で、商人自身の盾を突く」(3点)+「どうなるのかと問うた」(2点)で採点。
「矛と盾のどちらが強いか」だけでは2点。「盾を買うか矛を買うか」など売買の話にしたものは0点。自分の商品同士をぶつけるという点が要。二十〜三十字から外れたら−1点。
(4)
4点
ア商人の二つの自慢は、どちらか一方しか本当であり得ない。客はその二つを組み合わせてぶつけることで、自慢がうそだと示した。だから鋭い。
(5)
8点
(例)どんな矛も通さない盾と、どんな物も通す矛は、同時に存在することができないから。(39字)「どんな矛も通さない盾」(3点)+「どんな物も通す矛」(3点)+「二つは同時には成り立たない/両方が本当にはなりえない」(2点)で採点。
「商人がうそをついていたから」だけは2点。「客がこわかったから」「言葉がわからなかったから」は0点。指定語「盾」「矛」の両方を使っていない解答は−2点。三十五〜四十五字から外れたら−1点。
(6)
7点
(例)商人の話のように、二つのことがらが食いちがい、同時には成り立たないこと。(36字)「二つのことがら(言葉・主張)が食いちがう」(4点)+「同時には成り立たない」(3点)で採点。
「矛と盾という武器のこと」のように語の由来だけを書いたものは0点。「まちがっていること」「うそのこと」だけでは2点(二つが同時に成り立たないという点が中心)。話とのつながり(商人の自慢/矛と盾の話から)にふれていれば加点対象。三十〜四十字から外れたら−1点。
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四 「矛盾」の読解と故事成語の活用(つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(7)
6点
(自由記述・固定解なし)
※例…「早ね早起きをすると言いながら夜ふかしをするのは矛盾している。」
【採点基準】
・満点(6点)…「矛盾」が文法的に正しく使われ(「矛盾する」「矛盾している」「矛盾だ」など)、食いちがう二つのことがらが具体的に書かれていること。
・4点…「矛盾」の使い方は正しいが、食いちがう二つの内容が一つしか示されていない(例「それは矛盾だと思う。」)。
・2点…「矛盾」を使ってはいるが、意味がずれている(例「矛盾して悲しい。」=単に「残念」の意味で使っている)。
・0点…「矛盾」を使っていない/「矛順」「矛循」など表記が誤っている/意味が全く通らない。
※身のまわりの例(校則・標語・広告など)を挙げた解答も、二つの食いちがいが示せていれば満点とする。
(8)
4点
イこの話は商売の失敗談ではなく、自分の言葉に食いちがいがないか確かめよという教え。ア・ウ・エはいずれも話の中心からずれている。
(9)
5点
(例)短い言葉で、今の人にも通じる人間の姿や教えを言い表せるから。(30字)「短い言葉で言い表せる(便利・わかりやすい)」(2点)+「時代が変わっても変わらない人間の姿・失敗・教えを表している」(3点)で採点。
「昔からあるから」「有名だから」だけは0点。今の自分たちにもあてはまるという内容が入っていることが条件。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(10)
2点
②→③→①「不〈二〉亦 説〈一〉」=「亦説ばしからず」。返り点のついた①不を飛ばし、②亦→③説と読み、「一」のついた③説を読んだところで「二」のついた①不にもどる。①→②→③としたものは×。
(11)
3点
ア・イ・ウエ…客が矛を実際に買って盾を突いたという内容は本文にない(客は問いかけただけ)ので×。オ…商人が値段を下げたという内容は本文にないので×。ア・イ・ウの三つがそろって3点(完答)。一つでも欠けたり余分があれば0点。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
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【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. 返り点の読み順。レ点は「すぐ下の一字を読んでからもどる」、一二点は「一→二」の順。返り点のついた字を上から順に読んでしまう誤りが最も多い。
  2. 白文・訓読文・書き下し文の区別。「返り点や送り仮名がついているか」「仮名を使って日本語の文になっているか」で見分ける。書き下し文と現代語訳を混同しないこと。
  3. 送り仮名は片仮名で漢字の右下に小さく書く。「ふりがな(読み方)」とは役わりがちがう。
  4. 「矛」と「盾」の字形。「矛」は縦画をつき出す五画、「予」「矢」と書きまちがえやすい。「盾」の下は「目」。「矛順」「矛循」は誤答。
  5. 「物に於いて陥さざる無し」の二重否定。「突き通せない物はない」=「どんな物でも突き通す」。否定が二つ重なると強い肯定になることをおさえる。
  6. 「矛盾」の意味の取りちがえ。「うそ」「まちがい」ではなく、二つのことがらが食いちがって同時には成り立たないこと。ここが記述の分かれ目。
  7. 故事成語の意味の取りちがえ。「五十歩百歩(=たいして変わらない)」をほめ言葉に、「蛇足(=余計なもの)」と「画竜点睛(=大切な仕上げ)」を逆に、「漁夫の利(=第三者が得をする)」を「助け合って得をする」ととる誤りが頻出。
  8. 出典の混同。「矛盾」は『韓非子』。『論語』『史記』『孟子』などと取りちがえないこと(五十歩百歩=『孟子』、蛇足・漁夫の利=『戦国策』、四面楚歌・背水の陣=『史記』)。
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