中学1年 国語科 教材別テスト⑫ 模範解答・解説
中学1年 国語 / 「少年の日の思い出」(ヘルマン・ヘッセ)/光村図書『国語1』
【このテストの使い方】 本文は載せていません。教科書『国語1』の「少年の日の思い出」のページを開いたまま解答します。この作品は、現在の場面のあとに「客」が少年時代を語り出す入れ子(枠物語)の形で書かれています。登場人物の行動から心の動きを読み取る練習に向いた教材なので、記述問題と、心情の流れをたどる選択問題を中心に組みました。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問/送りがなをふくむ)1点×20=20点
二語句の知識(慣用句・語の意味・対義語・類義語)2点×7=14点
三文法(助詞・助動詞のはたらき)2点×8=16点
思考・判断・表現
50点
四「少年の日の思い出」の読解(12問)50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 助詞の種類(格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞)と助動詞の意味(受け身・自発・推定・様態など)を見分けられるか。
② この作品が入れ子(枠物語)の形で、大人になった「客」=「僕」の回想として語られていることをつかめているか。
③ 「僕」のちょう集めへの情熱と、珍しい獲物を得意に思う気持ちを結びつけて説明できるか。
④ エーミールの人物像(模範少年・非の打ちどころがない・冷たい批評家的態度)を言葉にできるか。
⑤ 盗みの場面の心の動きの順序と、許しも怒りもない対応が「僕」を打ちのめした理由、そして結末でちょうを押しつぶす行為の意味を読み取れるか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①びみょう⑪標本
②ねっきょう⑫努力
③はんてん⑬印象
④えもの⑭実験
⑤れいたん⑮批判
⑥ゆうわく⑯緊張
⑦つくろう⑰盗む
⑧さまたげる⑱許す
⑨うらやむ⑲謝る
⑩さぐる⑳後悔
小計 20点
【注意したい字】 ③「斑点」は「はんてん」。「反点」「班点」と書く誤りが多い(「班」は班長の班)。④「獲物」は「かくぶつ」ではなくえもの。⑤「冷淡」の「淡」はさんずい。「炎」の部分を「災」などと書かない。⑦⑧⑨⑩は送りがなまで必要。⑦「繕う」を「ぜんう」と読む誤りに注意。⑪「標本」の「標」は木へんに「票」。「漂」「慓」と混同しない。⑫「努力」の「努」は「奴」+「力」で、「怒」と書きまちがえない。⑬「印象」の「象」は、動物の「ぞう」の字。⑭「実験」の「験」はうまへん。「検」「険」との混同に注意。⑯「緊張」の「緊」は「臣」「又」「糸」を組み合わせた形。「堅」と混同しない。⑰⑱⑲も送りがなまで必要で、「盗む→盗すむ」「許す→許るす」「謝る→謝まる」は×。⑳「後悔」の「悔」はりっしんべん。
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二 語句の知識 (2点×7=14点)
番号解答解説
(1)ア「非の打ちどころがない」=欠点が一つもなく完全である。エーミールの人物像を表すときに使われる言い方。「非」は「あやまち・欠点」の意味。
(2)イ「息をのむ」=おどろきや感動で、はっと息を止める。美しいちょうを目にした場面の心の動きに重なる表現。アは「息が切れる」。
(3)イ「〜に目がない」=大好きで夢中になる。例「あまい物に目がない」。「目がない」=見る力がない、ではない。
(4)イ「丹念」=心をこめてていねいに。「丹念に調べる」「丹念に仕上げる」。反対はア「ぞんざい・手早く」。
(5)反対賛成 ⇔ 反対。「否定」「拒否」も意味は近いが、漢字二字の対義語としては「反対」が正答。
(6)ア「模範」=見習うべき手本。イ「模型」は字が似ているだけで意味がちがう。「模範生」は「手本になる生徒」。
(7)ア「口をつぐむ」=口を閉じて何も言わない。イ「口がうまい」=話が上手、ウ「口をはさむ」=横から話に加わる、エ「口が軽い」=秘密を言ってしまう。
小計 14点
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三 助詞・助動詞のはたらき (2点×8=16点)
番号──線部解答解説(見分け方)
(1)を格助詞主に体言につき、あとの語との関係(ここでは対象)を示す。「が・の・を・に・へ・と・より・から・で・や」の十語。
(2)が接続助詞活用する語(用言)のあとについて、前後を逆接でつなぐ。同じ「が」でも、「風がふく」のように主語を示す「が」は格助詞なので注意。
(3)まで副助詞いろいろな語につき、意味をそえる(ここでは「〜さえも」という強調)。「は・も・こそ・さえ・だけ・ばかり・まで・しか」など。
(4)よ終助詞文末につき、気持ちや態度(念おし・呼びかけ・疑問など)を表す。「か・な・ね・よ・ぞ・さ・わ」など。
(5)れる受け身「〜に…される」の形。動作をする相手(妹に)が示せるかどうかが決め手。
(6)れる自発「自然に〜される」の意味。「自然に」「ひとりでに」を補えるかで判断する。思い出す・感じる・しのばれるなど、心の働きを表す語につきやすい。
(7)らしい推定何かの根拠をもとに推し量る。「どうやら」を補える。人から聞いた話なら「〜そうだ(伝聞)」になる。
(8)そうだ様態「今にも〜しそうだ」と見た様子から判断する用法。動詞の連用形につくのが様態、言い切りの形(終止形)につくのが伝聞(例「降るそうだ」)。
小計 16点 / 知識・技能 合計 50点
【助詞・助動詞を見分けるコツ】 ① 助詞は活用しない付属語、助動詞は活用する付属語。まずここで分ける。② 同じ「が」でも、体言につけば格助詞/用言につけば接続助詞。③ 「れる・られる」は受け身・自発・可能・尊敬の四つ。「〜に」が補えれば受け身、「自然に」が補えれば自発、「〜できる」に言いかえられれば可能、えらい人の動作なら尊敬。④ 「そうだ」は直前の形で決まる(連用形=様態/終止形=伝聞)。
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四 「少年の日の思い出」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
4点
ウ現在の場面(「私」と「客」)→「客」が語り出す少年時代、という入れ子(枠物語)の構成。物語の中に物語が入っている形。ア「私」が自分の体験を語る、ではない点に注意。
(2)
2点
イ後半を語るのは「客」であり、その「客」が少年時代の自分を「僕」と呼んで回想している。語り手が交代することが、この作品の大きな特徴。
(3)
4点
イちょう集めは「僕」にとって、時間も食事も忘れるほどの情熱の対象だった。ア「競争心だけ」、ウ「しかたなく」、エ「お金」はいずれも本文と合わない。
(4)
6点
(例)珍しい青いコムラサキをとらえて、得意な気持ちになったから。(29字)「珍しい(青い)ちょうをとらえた」(3点)+「得意になった/自慢したくなった/見せたくなった」(3点)の二点で採点。
「収集が好きだったから」など情熱の強さだけを書いたものは2点まで。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(5)
4点
イエーミールは模範少年として描かれ、非の打ちどころがない。しかもその目は冷たい批評家のようで、「僕」の収集を値踏みするように見る。これが後半の対応につながる。
(6)
4点
ア「僕」の感情は一方向ではない。みごとな収集を認めて感心する気持ちと、それゆえにねたみ憎む気持ちが同時にある。この相反する感情が読めているかがポイント。
(7)
4点
イ「見る→ひかれる→誘惑→実行」という流れ。はじめから盗むつもりだったのではなく、気づかないうちに手が出てしまうところが、この場面の恐ろしさ。エ「腹が立つ→こわしてやろうと考える」は結末の行為と混同した誤り。
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四 「少年の日の思い出」の読解(つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(8)
6点
(例)自分が盗みをしたという罪の意識にたえられなくなったため。(28字)「盗みをしてしまった」(3点)+「罪の意識・後ろめたさにたえられない」(3点)の二点で採点。
「見つかるのがこわかったため」だけのものは3点。「ちょうがこわれたため」は因果が逆なので0点。「〜ため。」で結んでいないものは−1点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(9)
6点
(例)怒られるより、人間として軽蔑されたことがつらかったから。(28字)「怒りもせず、許しもしなかった」(3点)+「人間として軽蔑された/見下されたことがつらい」(3点)の二点で採点。
「ひどいことを言われたから」だけのものは2点。しかられるほうがまだ救われたのに、エーミールは「僕」を相手にする価値のない人間として片づけた——ここに気づけているかが分かれ目。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(10)
2点
イ母は「僕」をののしらず、自分の口であやまりに行かせた。責任は自分で取らせるという対応であり、「僕」を信じて向き合わせる愛情の形。
(11)
4点
ウこの作品の主題に関わる問い。一度こわれたものは償えないと知った「僕」は、自分の情熱そのものを自分の手で終わらせる。イ「うさをはらした」のような単純な怒りではなく、自分への罰・訣別であることを押さえる。
(12)
4点
ア・イ・エ・オウ…エーミールはどならず、冷たく静かに対応したので×。これが最大の引っかけ。
オ…エーミールは「僕」を許さなかった(○)。
ア・イ・エ・オの四つそろって4点(完答)。一つでも足りない、または余分な記号があれば0点。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
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【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. この作品は入れ子(枠物語)。前半の語り手「私」と、後半の語り手「客」=「僕」を混同しないこと。
  2. 「客」は大人になった人物であり、少年時代の自分をふり返って語っている。「僕」は回想の中の自分。
  3. 「僕」の情熱は本物だが、同時にエーミールの評価に敏感だった(感心しつつ、ねたんで憎んでいた)。この二面性が後の行動の伏線になる。
  4. エーミールは意地悪な少年ではなく、非の打ちどころのない模範少年。だからこそ「僕」にとってやりにくい相手になる。
  5. 盗む場面は計画的な悪事ではない。「見る→ひかれる→誘惑→実行→罪の意識」という流れを順にたどること。
  6. ちょうの羽がつぶれたのは、あわてて隠したことによる偶然。わざとこわしたのではない。
  7. エーミールの対応は「怒らない・許さない・軽蔑する」の三点セット。怒られなかったことがかえって「僕」を追いつめる。最大のポイント。
  8. 結末の行為はやつあたりではなく、自分への罰と、ちょう集めへの訣別。気持ちを問う記述では、行動をなぞるだけでは0点。「〜という気持ち。」「〜ため。」の形で結ぶこと。
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