中学2年 国語科 教材別テスト③ 枕草子 模範解答・解説
教材別リメイク版 中学2年 国語/「枕草子」(清少納言)・光村図書『国語2』
【このテストの使い方】 教科書の現代語訳・脚注・解説は載せていません。教科書『国語2』の「枕草子」のページを開いたまま解答します。問題用紙には著作権の保護期間が終わった古文の原文のみを掲げてあります。『枕草子』は平安時代の随筆で、作者の鋭い観察眼と「をかし」「あはれ」といった美意識を味わう教材です。古語と現代語の意味のずれに気づけるかどうかが、得点の分かれ目になります。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問)1点×20=20点
二歴史的仮名遣いと古語の意味2点×9=18点
三古典の基礎知識(成立時代・ジャンル・作者・三大随筆など)2点×6=12点
思考・判断・表現
50点
四「枕草子」の読解50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す規則(ハ行転呼・ワ行・母音の連続)を身につけているか。
② 「をかし」「あはれ」「うつくし」「つとめて」など、古語と現代語の意味のずれを理解しているか。
③ 「春はあけぼの」の章段で、四季と時間帯の組み合わせとその理由を説明できるか。
④ 対句的な繰り返し・体言止め・短い文という表現の特徴と、その歯切れのよい効果に気づけるか。
⑤ 随筆というジャンルの性質と、情景描写に表れた作者の観察眼を捉えられるか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①きゅうちゅう⑪習慣
②こてん⑫感性
③おもむき⑬観察
④ふぜい⑭染める
⑤あざ(やかな)⑮睡眠
⑥ただよ(う)⑯故郷
⑦せんさい⑰環境
⑧しも⑱尊敬
⑨すみ⑲季節
⑩かたむ(く)⑳険しい
小計 20点
【注意したい字】 ①「宮中」は「きゅうちゅう」。「ぐうちゅう」としないこと。③「趣」は「おもむき」。「しゅ」と音読みで答えたものは不正解。④「風情」は「ふうじょう」ではなくふぜい。⑤⑥⑩⑭⑳は送りがなまで必要(「鮮やかな」「漂う」「傾く」「染める」「険しい」)。⑦「繊細」の「繊」は糸へん。⑫「感性」を「感想」と書く誤りが多い。⑭「染める」は「初める」と書き分ける。⑮「睡眠」はどちらも目へん。⑯「故郷」を「古郷」と書く誤りが多い。⑰「環境」の「環」はたまへん(王)。⑱「尊敬」の「尊」の下部は「寸」。⑳「険しい」は「けわしい」、送りがなまで必要。「検」「験」と書き分けること。
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二 歴史的仮名遣いと古語の意味 (2点×9=18点)
番号解答解説
(1)ようよう「やう」のように母音+うが続く形は「よう」と読む(au→ô)。「だんだん・しだいに」の意。
(2)あわれ語の最初以外のハ行(は・ひ・ふ・へ・ほ)は、ワ行(わ・い・う・え・お)に直す。「はな(花)」→「わな」とはしないので、語頭はそのままという点も確認。
(3)おかし「を」は「お」に直す。「ゐ・ゑ・を」→「い・え・お」。
(4)いう語中の「ふ」→「う」。「いふ」=言う。
(5)なお語中の「ほ」→「お」。「なほ」=やはり・いっそう。
(6)いる「ゐ」→「い」。「ゐる(居る)」=座っている・いる。同じ仲間の「ゑ」も「え」に直す(「こゑ→こえ」)。
(7)イ「をかし」=趣がある・心がひかれる・興味深い。現代語の「おかしい(こっけいだ・変だ)」ではない。エを選ぶ誤りが最も多い。
(8)ウ「あはれなり」=しみじみと心に深く感じられる(心の底から深く感じ入る)。感動の中心を表す語。現代語の「あわれ(かわいそう)」の意味に引かれてカを選ばないこと。
(9)ア「つとめて」=早朝・明け方。現代語の「努めて(努力して)」と混同してオを選ぶ誤りが多い。「冬はつとめて」は「冬は早朝がよい」の意。
小計 18点
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三 古典の基礎知識 (2点×6=12点)
番号解答解説
(1)イ(平安時代)十一世紀初めごろの成立。平安時代の中ごろ、一条天皇の中宮定子に仕えていた時期の体験がもとになっている。
(2)随筆物語・日記・和歌集ではなく随筆。「随想」「エッセイ」は漢字二字の指定に合わないため不正解とする。
(3)清少納言「清小納言」「清少納音」などの誤字に注意。「少」であることを確認させる。
(4)イ・エ「日本三大○○」=日本三大随筆のこと。枕草子(平安)・方丈記(鎌倉/鴨長明)・徒然草(鎌倉末〜南北朝/兼好法師)。ア平家物語は軍記物語、ウ古今和歌集は和歌集、オ竹取物語は作り物語。二つそろって2点(完答)。
(5)紫式部同じ平安中期の女性作家。『枕草子』=随筆/『源氏物語』=物語というジャンルの違いと、「をかし」(枕草子)と「もののあはれ」(源氏物語)という美意識の違いをあわせて押さえる。
(6)ウ(もののあはれ)『源氏物語』を貫くのは、しみじみとした深い情感を味わう「もののあはれ」の美意識。イ「をかし」は『枕草子』の美意識、ア「わび」・エ「幽玄」は中世以降の美意識。
小計 12点 / 知識・技能 合計 50点(20+18+12)
【歴史的仮名遣いの三原則】 ① 語中・語尾のハ行(は・ひ・ふ・へ・ほ)→ ワ行(わ・い・う・え・お)。例「あはれ→あわれ」「いふ→いう」「なほ→なお」。
② 「ゐ・ゑ・を」→「い・え・お」。例「ゐる→いる」「をかし→おかし」。
③ 母音の連続「au・iu・eu」→「ô・yû・yô」。例「やうやう→ようよう」「てふ→ちょう」。
※ 語頭のハ行は直さない(「はな」は「わな」にならない)。ここを取りちがえる誤りが最も多い。
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四 「枕草子」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
4点
春…あけぼの
夏…夜
秋…夕暮れ
冬…つとめて
四つそろって4点(完答)。「つとめて」=早朝をひらがなのまま書き抜けていればよい。「冬…早朝」のように現代語に直したものは、書き抜きの指示に反するため−1点。「春…春はあけぼの」のように文ごと写したものは可とする。
(2)
3点
イ「あけぼの」=夜がほのかに明けはじめるころ。「あかつき」よりやや後、空が白みはじめる時刻。
(3)
3点
イ「やうやう」=しだいに、「白くなりゆく」=空が明るくなっていく。雪ではない。アを選ぶ誤りが多い。
(4)
4点
イ月の夜はもちろんよいが、闇の夜でも螢がたくさん飛びかう、一つ二つがほのかに光って飛ぶ――と、暗さの中の小さな光に目を向けている。ア・ウのような「暑い/すずしい」という体感の話ではない。
(5)
5点
(例)夕日の中を飛び急ぐ鳥の姿に、しみじみとした情趣を感じるということ。(33字)「夕日・山の端/烏や雁が飛び急ぐ姿」という具体(3点)+「しみじみとした情趣・深い感動(あはれ)を感じる」(2点)で採点。
「秋だから」「きれいだから」だけの解答は0点。原文をそのまま書き写しただけのものも0点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。「〜ということ。」で結んでいないものは−1点。
(6)
4点
エ原文の最後で、昼になって火桶の火が白い灰ばかりになったさまを「わろし」(よくない)と述べている。ア・イ・ウは「言ふべきにもあらず(言うまでもなくよい)」「つきづきし(似つかわしい)」と肯定的に書かれている。「わろし」=悪いを押さえていれば解ける。
(7)
4点
イ「春は〜」「夏は〜」「秋は〜」「冬は〜」という対句的な繰り返しと、「あけぼの」「夜」のように名詞で言い切る体言止め。短い文が連続することで、歯切れのよいリズムと断定的な小気味よさが生まれる。アの「長い一文」は本文の特徴と正反対。
(8)
5点
(例)列をつくって飛ぶ雁が、遠くに小さく見える様子を好ましく思うということ。(35字)「列を連ねて飛ぶ雁が、遠くに小さく見える様子」という具体(3点)+「好ましく思う・心をひかれる・趣深く感じている」(2点)の二点で採点。
「鳥がきれいだから」のように具体に触れていないものは1点。「まいて」=まして・いっそう、「をかし」=趣があるという語の意味を押さえていれば書ける。二十五〜三十五字から外れたら−1点。「〜ということ。」で結んでいないものは−1点。
(9)
4点
イ古語の「うつくし」は、現代語の「美しい」ではなく「かわいらしい・いとおしい」の意。そのため、この章段には小さなもの・幼いものが並べられる。古語と現代語の意味のずれを問う設問。
(10)
5点
(例)空にうっすらと紫がかった雲が、細く長く横に引いている様子。(29字)「紫がかった雲」(3点)+「細く長く横に引く(たなびく)」(2点)で採点。「紫だちたる」=紫色を帯びた、「たなびく」=雲やかすみが横に長く引く。
「山ぎわが明るくなる」など(3)の内容だけを書いたものは1点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。「〜様子。」で結んでいないものは−1点。
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四 「枕草子」の読解(つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(11)
4点
イ随筆=見聞したことや感じたことを、形式にとらわれず自由に書き連ねた文章。ア…記録・日記、ウ…物語、エ…短歌の説明。
(12)
5点
【ルーブリック採点】
(例)秋の夕暮れを美しいと感じる点は自分と同じだが、冬の早朝を趣深いと思う感覚は自分にはない。(44字)
5点(満点)の条件…①重なる点と②異なる点の両方が書かれている/③どちらにも本文の具体例(春のあけぼの・螢・夕日と鳥・霜や炭など)が示されている/④四十〜五十字の範囲内。
3〜4点…①②の両方はあるが、具体例があいまい、または一方だけ具体的。
1〜2点…重なる点か異なる点の片方だけしか書けていない。
0点…感想のみ(「おもしろかった」等)、本文と無関係、無解答。
−1点…四十〜五十字から外れている場合。
※ 内容の正誤は問わない。自分の感覚を、本文の記述と結びつけて述べられているかだけを見る。
思考・判断・表現 合計 50点(4+3+3+4+5+4+4+5+4+5+4+5) / 総合 100点
【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. 「をかし」=趣がある。現代語の「おかしい(こっけいだ・変だ)」ではない。最頻出の引っかけ。
  2. 「あはれなり」=しみじみと深く感じられる。「かわいそうだ」と訳さない。
  3. 「つとめて」=早朝。「努めて(努力して)」ではない。「冬はつとめて」は「冬は早朝がよい」。
  4. 「うつくし」=かわいらしい。「美しい」ではないため、「うつくしきもの」には小さく幼いものが並ぶ。
  5. 歴史的仮名遣いは語頭のハ行は直さない。「あはれ→あわれ」は直すが、「はな」はそのまま。
  6. 四季と時間帯の対応(春=あけぼの/夏=夜/秋=夕暮れ/冬=つとめて)は暗記事項。秋と冬を入れちがえる誤りが多い。
  7. 表現の特徴は対句的な繰り返し+体言止め+短文。「長く続く文」「比喩の多用」と答えると誤り。
  8. ジャンルは随筆。『源氏物語』(紫式部・物語)との混同、三大随筆(枕草子・方丈記・徒然草)の取りちがえに注意。
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