中学2年 国語科 教材別テスト⑥ 模範解答・解説
教材別リメイク版 中学2年 国語 / 「字のない葉書」(向田邦子)/光村図書『国語2』
【このテストの使い方】 本文は載せていません。教科書『国語2』の「字のない葉書」のページを開いたまま解答します。この作品は、筆者が自分の家族の戦争体験を語った随筆(回想)です。人物の行動と、丸や「×」といった記号の変化から、言葉にされていない気持ちを読み取る練習に向いた教材なので、記述問題を多めにしてあります。採点は、解答欄の記述を本解答例と見比べ、下の採点のポイントにある要素が入っているかで判断してください(表現は例と一致しなくてかまいません)。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問)1点×20=20点
二語句の知識(語の意味・慣用句・対義語・類義語・熟語の組み立て)2点×7=14点
三文法(助詞のはたらき=種類の識別・意味用法の識別)2点×8=16点
思考・判断・表現
50点
四「字のない葉書」の読解(12問)50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 助詞を四つの種類(格助詞・接続助詞・副助詞・終助詞)に分け、さらに「の」「が」「と」「で」の意味・用法を見分けられるか。
② 父の手紙の他人行儀で威厳のある文面と、家庭での父の姿とのギャップに気づき、そこから父の人物像の二面性を言葉にできるか。
③ 葉書の丸が大きい→小さい→「×」→来なくなると変化することの意味を、妹の身に起きたことと結びつけて説明できるか。
④ ふだん泣かない父が声を上げて泣いたという行動から、言葉にされていない気持ちを「〜という気持ち。」の形で書けるか。
⑤ 題名「字のない葉書」が象徴するものと、回想という形式の効果を理解しているか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①そかい⑪遠慮
②いげん⑫郵便
③ひっせき⑬約束
④ぼうくん⑭荷物
⑤ていねい⑮健康
⑥あてな⑯涙
⑦だ(きしめる)⑰厳しい
⑧おとろ(える)⑱迎える
⑨あわ(てて)⑲届く
⑩なつ(かしい)⑳幼い
小計 20点
【注意したい字】 ①「疎開」の「疎」は「そ」。「疏」と書かない。②「威厳」は「いげん」。「威」を「おどし」と読まない。③「筆跡」の「跡」は「せき」。「筆績」は誤り。⑥「宛名」は「あてな」。「えんめい」と読む誤りが多い。⑦⑧⑨⑩⑰⑱⑲⑳は送りがなまで必要(⑦「抱きしめる」のように送りがなだけを書く形でも正答)。⑪「遠慮」の「慮」は「虍(とらがしら)」の下に「思」。「虜」と書き誤らない。⑫「郵便」の「郵」は右が「おおざと(阝)」。⑯「涙」はさんずい+戻。⑰「厳しい」は「厳い」としない。⑱「迎える」はしんにょう。「迎かえる」は誤り。⑳「幼い」は「幻」と形が似ているので注意。
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二 語句の知識 (2点×7=14点)
番号解答解説
(1)ア「威厳」=おごそかで重々しく、人を自然に敬わせるような感じ。イの「力でおさえつける」は「威圧」の意味なので区別する。
(2)イ「他人行儀」=親しい間がらなのに、他人に対するようによそよそしくふるまうこと。父の手紙の文面をとらえるうえで欠かせない語。
(3)イ「息をのむ」=おどろき・感動・緊張のあまり、一瞬息が止まる。「我慢する」意味ではない。
(4)イ「目を細める」=うれしさ・かわいらしさに、思わず笑顔になる。アの「遠くを見ようとする」は「目をすがめる」に近く、誤り。
(5)到着出発 ⇔ 到着。「帰着」でも可とする。
(6)永遠「永久」=「永遠」。「不滅」「恒久」も意味は近いが、漢字二字で最も一般的なものとして「永遠」を正答とする(「恒久」も可)。
(7)ア「無事」=上の字「無」が下の字「事」を打ち消す組み立て。同じ型は「不安」。イ読書=下が上の目的、ウ高低=反対の意味、エ白線=上が下を修飾。
小計 14点
三 助詞のはたらき (2点×8=16点)
番号──線部解答解説(見分け方)
(1)よエ 終助詞文末に付いて、話し手の気持ち・態度(断定・念押し・問いかけ・感動)を表す。「か・な・ね・よ・ぞ・わ・の」など。
(2)にア 格助詞体言(名詞)に付いて、文中での関係(ここでは動作の相手)を示す。「が・の・を・に・へ・と・より・から・で・や」が格助詞。
(3)のでイ 接続助詞用言(活用する語)に付いて、前後の文をつなぐ。「ので・から・が・けれど・ても・ば・と・ながら」など。ここは原因・理由をつなぐ。
(4)ばかりウ 副助詞いろいろな語に付いて意味を付け加える。「は・も・こそ・さえ・でも・しか・だけ・ばかり・まで・など」。ここは限定の意味。
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三 助詞のはたらき(つづき)
番号──線部解答解説(見分け方)
(5)父の書いたア 主語を示す「父が書いた」と言いかえられる。「が」に置きかえられる「の」は主語を示す用法。「父の手紙」(=連体修飾)との区別が最大のポイント。
(6)寒かったがウ 逆接を表す「寒かったけれども」と言いかえられる接続助詞の「が」。「妹が帰る」の主語を示す格助詞の「が」と混同しないこと。
(7)弟とエ 動作を共にする相手「弟と二人で」=いっしょに行う相手を示す格助詞。「『行く』と言った」のような引用の「と」(オ)との区別が問われる。
(8)筆でカ 手段・方法を示す「筆を使って」と言いかえられる。「庭で書く」なら場所(キ)、「病気で休む」なら原因・理由(ク)。言いかえて確かめるのがコツ。
小計 16点 / 知識・技能 合計 50点
【助詞を見分けるコツ】 ① どこに付くか…体言に付いて関係を示す=格助詞/用言に付いて文をつなぐ=接続助詞/文末=終助詞/意味を付け加える=副助詞。
② 言いかえて確かめる…「の」→「が」に直せれば主語。「が」→「けれども」に直せれば接続助詞(逆接)。「で」→「を使って」なら手段、「のために」なら原因・理由。
③ 同じ字でもはたらきは一つではない。「が」「の」「と」「で」「から」は毎年ねらわれる。文全体で判断すること。
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四 「字のない葉書」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
3点
イ(随筆)筆者が自分の体験や思い出を、感じたままに書いた文章は随筆。ア小説は作り話(フィクション)、ウ詩は行分けの短い表現、エ戯曲は上演のための脚本。この作品は、太平洋戦争末期に妹が学童疎開に出された家族の思い出を、大人になった筆者が回想した随筆である。
(2)
4点
イ父は、娘宛ての手紙で、ふだんの口調とはまるで違う丁寧な言葉を使い、宛名まできちんと書いていた。読んだ「私」が気恥ずかしくなるほど他人行儀で威厳のある文面だったことをつかむ。エ「用件だけのそっけない文面」は、ていねいさ・威厳を見落としている。
(3)
4点
イ家では短気で荒々しい「暴君」のような父が、手紙では別人のようにていねいに書く。このギャップこそが、父の二面性=「厳格でありながら、子への愛情が深い」という人物像を示している。ア・エのように「愛情がない」「えこひいき」と取るのは誤り。
(4)
4点
(例)妹はまだ字が書けないので、毎日の元気な様子を知らせるため。(29字)「妹はまだ字が書けない(幼い)」(2点)+「元気かどうか(様子)を毎日知らせる・知る」(2点)の二点で採点。
どちらか一方だけなら2点。「父が葉書を集めていたから」などは0点。二十〜三十字から外れたら−1点。文末が「〜ため。」でなければ−1点。
(5)
3点
アはがき一面をうめるほどの勢いのよい大きな丸は、妹が元気で過ごしていることを表す。約束どおり「元気な日は大きな丸」なのだから、イ「字を覚えた」ではない。
(6)
5点
(例)疎開先での生活が苦しくなり、妹の体が弱っていったこと。(27字)「妹が元気をなくした・体が弱った・病気になった」(3点)+「疎開先の暮らしが苦しかった/食べ物が足りなかった」など原因にふれている(2点)で採点。
「丸が小さくなった」と見たとおりをなぞっただけのものは0点。記号の変化=妹の体の変化と読みかえられているかが分かれ目。二十五〜三十五字から外れたら−1点。文末が「〜こと。」でなければ−1点。
(7)
3点
イ引き取りに行ったときの妹は、げっそりとやせ衰えて痛々しい姿だった。この姿が、次の(8)の父の涙に直結している。
(8)
6点
(例)やせ衰えた妹の姿に胸を打たれ、無事に帰ってきたことがうれしいという気持ち。(37字)「やせ衰えた妹の姿を見たつらさ・いたわしさ(かわいそうだという思い)」(3点)+「生きて帰ってきたことへの安心・喜び」(3点)の二点で採点。
「疎開させたことへの悔い」を書いたものも、前者と同等に扱って3点とする。
「父が泣いたから悲しい」のように行動をなぞるだけのものは0点。ふだん泣かない父が人前で泣いたという点にふれていれば、内容が整っていなくても1点加点してよい(ただし上限6点)。三十〜四十字から外れたら−1点。文末が「〜という気持ち。」でなければ−1点。
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四 「字のない葉書」の読解(つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(9)
4点
イ妹はまだ字が書けないので、葉書には文字がない。それでも丸や「×」だけで、元気かどうかという大事なことが伝わってしまう。題名は、言葉を持たない幼い者と家族が、戦争下でそうした形でしか結ばれていられなかったことを象徴している。
(10)
3点
イ語っているのは大人になった筆者。当時は気づけなかった父の思いを、時間をへだてた今だからこそ静かに見つめ直せる。これが回想形式の効果。
(11)
4点
ア・ウ・エイ…父が妹に手紙を書き送ったことは本文に書かれていないので×。オ…「私」は妹から来た葉書を見ており、丸の変化もとらえているので×。ア・ウ・エの三つがそろって4点(完答)。一つでも欠けたり、余分な記号が入っていれば0点。
(12)
7点
(例)戦争は家族を引き離し、幼い子どもの体さえ弱らせて、親に子の無事を祈るほかない苦しみを強いた。(46字)【ルーブリック】
・7点…①家族が離れて暮らさざるをえなかったこと、②幼い者の命や健康が危険にさらされたこと、③家族が互いの無事を願うしかなかった(思いを伝え合えなかった)こと、のうち二つ以上にふれ、字数と文のまとまりがそろっている。
・5点…上の①〜③の要素が一つは書けているが、もう一つがあいまい。
・3点…「戦争はよくない」「かわいそうだ」など感想だけで、家族に強いられたものが具体的に書けていない。
・0点…無記入、または本文と無関係な内容。
・字数(四十〜五十字)から外れたら−1点。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
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【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. この作品は随筆(回想)。語っているのは、大人になった筆者であって、当時の子どもの「私」ではない。
  2. 冒頭の手紙の話は、ただの思い出話ではない。他人行儀で威厳のある文面を先に見せておくことで、のちに声を上げて泣く父との落差が生きてくる。構成の工夫に気づくこと。
  3. 父の人物像は「こわい人」ではなく二面性。家では短気な「暴君」でありながら、言葉や文字、そして涙に深い愛情がにじむ。どちらか一方だけで答えると減点される。
  4. 丸を書かせたのは、妹がまだ字を書けない幼さだったから。「父の思いつき」ではなく、必要にせまられた約束である。
  5. 大きな丸 → 小さな丸 → × → 便りが来ないという変化は、妹の体と暮らしが追いつめられていく過程そのもの。記号の見た目をなぞるだけでは0点。
  6. 父が泣いたのは、悲しみ一色ではない。「よく帰ってきた」という安心と喜びと、やせ衰えた姿へのいたわしさ・悔いが重なっている。二つの方向を書くこと。
  7. 題名の「字のない」は欠点ではなく、言葉にならない思いが伝わってしまうことを表す。ここが題名を問う問題の核心。
  8. 気持ちを問う記述では、行動をなぞるだけでは0点。「〜という気持ち。」「〜こと。」「〜ため。」と、設問が指定した文末でしめくくること。
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