中学2年 国語科 教材別テスト⑨ 模範解答・解説
教材別リメイク版 中学2年 国語 / 「仁和寺にある法師—『徒然草』から」(兼好法師)/光村図書『国語2』
【このテストの使い方】 教科書の現代語訳や脚注・解説は載せていません。教科書『国語2』の「仁和寺にある法師」のページを開いたまま解答します。大問四には、著作権の保護期間が過ぎている『徒然草』第五十二段の古文の原文だけをそえてあります。この教材は、古語・係り結びという古典文法の基礎と、法師の失敗から教訓を読み取る読解の二本立てで出題するのに向いています。原文のリズムを音読で確かめてから解くと、記述問題が書きやすくなります。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問)1点×20=20点
二古語の意味・歴史的仮名遣い・係り結び2点×9=18点
三古典の基礎知識(成立時代・ジャンル・作者・三大随筆・無常観)2点×6=12点
思考・判断・表現
50点
四「仁和寺にある法師」の読解50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 古語(つれづれなり・あやし・そも・ねんごろに・かたへ・いみじ)の意味を、現代語とのちがいに注意して覚えているか。
② 係り結びのきまり(「ぞ・なむ・や・か」→連体形/「こそ」→已然形)を理解しているか。
③ 『徒然草』の成立時代・ジャンル・作者と、日本三大随筆の対応関係を正しく答えられるか。
④ 法師の行動の順序(思い立つ→一人で徒歩で出かける→麓の寺社を本宮と思いこむ→山に登らず帰る→得意げに語る)を正確につかめるか。
⑤ 結びの一文「少しのことにも、先達はあらまほしきことなり」の教訓を自分の言葉で言いかえ、現代の自分の生活に結びつけて書けるか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①ほうし⑪音読
②いわしみず⑫信仰
③おが(む)⑬修行
④さんぱい⑭念仏
⑤とほ⑮志す
⑥おもむき⑯軽率
⑦ちょうじょう⑰勘違い
⑧とうと(い)⑱感謝
⑨なごり⑲教訓
⑩ゆいしょ⑳敬う
小計 20点
【注意したい字】 ①「法師」は「ほっし」と書く誤りが多い。「ほうし」。②「石清水」は「いしきよみず」ではなく「いわしみず」。作品名に関わる固有名詞なので必ず覚える。③「拝む」は送りがな「む」まで。「拝」は手へん(扌)で、右側は横棒が四本。「拝」を「拜」と書いたり横棒を三本にする誤りが多い。⑤「徒歩」の「徒」は「ただ歩いて行く」の意味。⑥「趣」は「おもむき」。「しゅ」と音で読まないこと。送りがなは不要。⑦「頂上」の「頂」は「いただき」とも読む。⑨「名残」は熟字訓で「なごり」。「めいざん」は誤り。⑩「由緒」は「ゆいしょ」。「ゆうしょ」「ゆしょ」は誤り。⑪「音読」は「訓読」と書き分ける。⑫「信仰」の「仰」は「あお(ぐ)」。「信仲」は誤り。⑬「修行」の「修」はにんべん+攵ではなく「イ+攸」。「修業(しゅぎょう/しゅうぎょう)」との意味のちがいにも注意。⑮「志す」は送りがな「す」まで。「志ざす」は誤り。⑯「軽率」の「率」を「卒」と書く誤りが非常に多い。⑰「勘違い」は送りがな「い」まで。⑱「感謝」の「謝」はごんべん。「感射」は誤り。⑳「敬う」は送りがな「う」まで。「敬まう」は誤り。
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二 古語の意味・歴史的仮名遣い・係り結び (2点×9=18点)
番号解答解説
(1)イ「つれづれなり」=することもなく手持ちぶさただ、所在ない。『徒然草』の書名はこの語に由来する。現代語の「つれづれ」からウ「次々と続く」と考える誤りが多い。
(2)ア「あやし(怪し)」=不思議だ、変だ。序段の「あやしうこそものぐるほしけれ」も「不思議なほど…」の意。別語の「あやし(賤し)」=身分が低い・みすぼらしい、もあわせて確認する。
(3)ウ「そも」=それにしても、いったい。原文「そも、参りたる人ごとに山へ登りしは」のように、話題を切り出すときに使う。
(4)イ「ねんごろなり(懇ろなり)」=心をこめている、熱心だ、ていねいだ。ア「念のために」のように漢字から推測すると誤る。
(5)ア「かたへ(傍)」=そば、かたわら。転じて「そばにいる人・仲間」。本文の「かたへの人」は「仲間(居合わせた人)」の意。「片方」ではない。
(6)ウ「いみじ」=程度がはなはだしい。よい意味では「たいへんすばらしい」、悪い意味では「ひどい」と、どちらにも使えるのが特徴。ア「いやしい」は「あやし(賤し)」の意味。
(7)むかいて語中・語尾の「は・ひ・ふ・へ・ほ」は「ワ・イ・ウ・エ・オ」と読む。よって「向かひて」→「むかいて」。同じきまりで、原文中の「思ひ立ちて」→「おもいたちて」、「あひて」→「あいて」なども直せる。すべてひらがなという条件を守ること。
(8)已然形係助詞「こそ」があると、結びは已然形になる。形容詞「ものぐるほし」(シク活用)の已然形が「ものぐるほしけれ」。「けれ」を助動詞「けり」と見て過去と考えるのは誤り。「連体形」と答えたものは0点。
(9)連体形係助詞「ぞ・なむ・や・か」があると、結びは連体形になる。本文「とぞ言ひける」が実例で、「けり」の連体形「ける」で結ばれている。「ぞ・なむ・や・か=連体形/こそ=已然形」とセットで暗記する。
小計 18点
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三 古典の基礎知識 (2点×6=12点)
番号解答解説
(1)ウ『徒然草』は鎌倉時代の末期(十四世紀前半ごろ)の成立。イ「平安時代中期」は『枕草子』の時代なので混同しないこと。
(2)随筆見聞きしたことや感じたことを、形式にとらわれず自由に書きつづった文章。「物語」「日記」「説話」は×。
(3)兼好法師
(吉田兼好)
どちらの表記でも正答。「卜部兼好」も可。「兼行」「謙好」などの誤字は0点。「法師」まで書けていなくても「兼好」なら正答とする。
(4)枕草子清少納言・平安時代中期。「枕の草子」「枕双紙」などの表記ゆれは正答とするが、「枕草紙」は誤り。
(5)方丈記鴨長明・鎌倉時代前期。「ゆく河の流れは絶えずして…」で始まる。「方丈」は一丈四方の小さな庵のこと。「方丈紀」は誤り。
(6)無常観この世のものはすべて移り変わるという仏教的な考え方。『方丈記』『徒然草』に共通して流れている。「無情観」は誤り。「無常感」も可とする。
小計 12点 / 知識・技能 合計 50点
【日本三大随筆の整理】 『枕草子』=清少納言/平安時代中期 → 『方丈記』=鴨長明/鎌倉時代前期 → 『徒然草』=兼好法師/鎌倉時代末期。
この「作品名・作者・時代」の三点セットが、入れちがいでもっとも失点しやすいところ。成立順に並べて覚えると混乱しない。
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四 「仁和寺にある法師」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
3点
イ「年寄るまで石清水を拝まざりければ」=年を取るまで石清水を拝んでいなかったので。この打消「ざり」を読み落とすと、話全体が逆になってしまう。
(2)
3点
イ「あるとき思ひ立ちて」=急に思い立って。「ただ一人」=同行者もなし。「徒歩より」=乗り物を使わず歩いて。この三つが重なって、準備不足・軽率さが示されている。
(3)
4点
極楽寺・高良
(順不同)
一つ正答で2点、二つそろって4点。原文のとおり書き抜くこと。どちらも石清水八幡宮の麓(山のふもと)にある寺社で、本宮ではない。「石清水」「八幡宮」と書いたものは0点。
(4)
5点
(例)麓にある極楽寺や高良などを石清水の本宮だと思いこみ、参拝はこれだけで終わりだと決めつけてしまったため。「極楽寺・高良などを本宮だと思いこんだ」(3点)+「これで全部だ(かばかりと心得て)と決めつけた」(2点)の二点で採点。「〜ため。」の形になっていないものは−1点。
「道に迷ったため」「時間がなかったため」など本文にない理由は0点。
(5)
4点
イ「何事かありけん」=何があったのだろうか(疑問)。「ゆかしかりしかど」=心がひかれたけれども。つまり不思議に思い、見たいとも思っていた。それでも行かなかったことが、この話の最大の皮肉。
(6)
5点
(例)山を登って、山上にある石清水八幡宮の本宮を参拝すること。「山へ登ること」(2点)+「山上の本宮を参拝する=本来の目的を果たすこと」(3点)で採点。
「人に尋ねて、山へ登る理由を確かめること。」も同じ配点で正答とする。「〜こと。」の形になっていないものは−1点。
(7)
3点
イ「年ごろ思ひつることを果たしはべりぬ」=長年思っていたことを果たしました。「聞きしにも過ぎて尊くこそおはしけれ」と感動まで語っており、得意げで満足しきっている。本人は失敗に気づいていない。
(8)
3点
ア「はべり」=丁寧の補助動詞で「〜ます・〜です」。「果たしはべりぬ」は「果たしました」の意。聞き手に対するていねいな言い方であり、相手の動作を高める言い方(イ)やへりくだり(ウ)ではない。
(9)
5点
(例)小さなことでも、経験のある人の助言を得たほうがよいということ。(31字)「少しのこと=小さなこと・ちょっとしたことでも」(2点)+「経験者(案内役)の助言・導きがあったほうがよい」(3点)の二点で採点。
「あらまほし」=あってほしい・あるのが望ましい。これを「先輩はいない」「先輩はいらない」と逆に訳したものは0点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
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四 「仁和寺にある法師」の読解(つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(10)
4点
イ筆者は法師を直接ののしらず、法師自身の自慢話をそのまま並べる。読者は「山の上が本宮なのに!」と自分で気づくため、おかしみと皮肉が生まれる。最後の一文だけが筆者の感想という構成をつかむ。
(11)
7点
(例)地図を確かめずに行けると思い込み、待ち合わせ場所をまちがえた。先に人に聞けば防げた失敗だった。(47字)【ルーブリック】
・ア 法師と同じように、確かめたり人に尋ねたりせずに行動したという具体的な例(自分の経験・身近な例)が書けている…………3点
・イ その結果失敗した(うまくいかなかった)ことが書けている…………2点
・ウ 人に尋ねる・調べる・確かめるなど、防ぐ方法にふれている…………2点
※ ア〜ウがそろって7点。アのみ3点、ア+イで5点。
※ 「先達は大切だ」という一般論だけで、具体例がないものは最大2点。
※ 本文の内容をそのまま書き写しただけのものは0点。
※ 四十字未満・五十一字以上は−1点。
(12)
4点
イこの段が古典随筆の名場面として読み継がれているのは、人間らしい失敗を笑いの中にえがきつつ、時代を問わずだれにでも通じる教訓がおさめられているから。わずか三文のうちに、人間のおかしさと教訓がともにまとめられている点を評価する。
ア…寺社の記録を目的とした文章ではないので×。ウ…登場人物は法師と「かたへの人」だけで、筋も短いので×。エ…風景描写が中心の文章ではないので×。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
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【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. 「拝まざりければ」の打消「ざり」を見落とすと、「よく参拝していた法師」と逆に読んでしまう。古文の失点はここから始まる。
  2. 法師が拝んだ極楽寺・高良は、石清水八幡宮の麓にある別の寺社。本宮は山の上にある。この位置関係が話の土台。
  3. 「かばかりと心得て」=これだけだと思いこんで。確かめないまま決めつけたことが失敗の原因。
  4. 法師は山に登る人々を見て「ゆかしかりしかど(見てみたかったけれど)」と思っている。気づくチャンスはあったのに尋ねなかった点が、この話の皮肉の中心。
  5. 法師は失敗にまったく気づいていない。だからこそ「果たしはべりぬ」という得意げな語りがおかしい。「反省している」と読むのは誤り。
  6. 「あらまほし」=あってほしい・あるのが望ましい。「ない」「いらない」と逆に訳す誤りが非常に多い。
  7. 係り結びは「ぞ・なむ・や・か→連体形/こそ→已然形」。本文の「とぞ言ひける」(連体形)と、序段の「こそものぐるほしけれ」(已然形)を実例としてセットで覚える。
  8. 記述では、原文の書き写しは0点。「〜ため。」「〜こと。」など指定された文末の形で、自分の言葉に言いかえてまとめること。
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