中学2年 国語科 教材別テスト⑧ 模範解答・解説
教材別リメイク版 中学2年 国語/「扇の的—『平家物語』から」(光村図書『国語2』)
【このテストの使い方】 教科書の現代語訳や脚注は載せていません。教科書『国語2』の「扇の的—『平家物語』から」のページを開いたまま解答します。問題用紙には、公有(著作権の保護期間が終わっている)の古文原文だけをのせています。古文は「声に出して読む」ことが理解の第一歩です。七五調のリズムと擬音語を味わってから、設問に取り組ませてください。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問)1点×20=20点
二歴史的仮名遣いと古語の意味2点×9=18点
三古典の基礎知識(成立・ジャンル・語り・表現技法・対句・合戦)2点×6=12点
思考・判断・表現
50点
四「扇の的—『平家物語』から」の読解(12小問)50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直す規則(は行→わ行、ゐ→い、やう→よう、けふ→きょう など)が身についているか。
② 『平家物語』が鎌倉時代の軍記物語で、琵琶法師によって平曲として語り継がれたことを理解しているか。
③ 与一の重圧・緊張・名誉を重んじる心を、祈りの言葉や行動から読み取れるか。
④ 擬音語(よつぴいて/ひやうど/ひいふつと)・七五調・対句が生む臨場感に気づけるか。
⑤ 敵味方をこえた称賛の直後に置かれた老武者の射殺という展開から、合戦の非情さと無常観へつなげて考えられるか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①おうぎ⑪軍勢
②ぼうとう⑫源平
③むじょう⑬勇ましい
④かぶと⑭感嘆
⑤い(る)⑮緊張
⑥しょうはい⑯小舟
⑦ばくふ⑰弓矢
⑧おとろ(える)⑱静まる
⑨いの(る)⑲武士
⑩めいしゅ⑳誇る
小計 20点
【注意したい字】 ①「扇」は「おうぎ」。「せん」と音で読まないこと。③「無常」は「無情」と書き分ける(「無常」=移り変わること/「無情」=思いやりがないこと)。⑤「射る」は「い(る)」で、送りがなまで必要。「しゃる」は誤り。⑧「衰える」は「おとろ(える)」。「すいえる」は誤り。⑪「軍勢」の「勢」を「成」と書かない。⑫「源平」は「源氏」と「平氏」の略。⑬「勇ましい」は送りがなに注意(「勇しい」は誤り)。⑭「感嘆」の「嘆」は「歎」でもよいが、教科書体では「嘆」。「感短」「感担」の誤りが多い。⑮「緊張」の「緊」は上部が「臤」。⑳「誇る」は「ほこる」。「誇」は「言(ごんべん)」に「夸」。送りがなが必要なのは⑤・⑧・⑨・⑬・⑱・⑳の六問。
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二 歴史的仮名遣いと古語の意味 (2点×9=18点)
番号解答解説
(1)いう語中・語尾の「ふ」は「う」。「いふ」→「いう」。原文「いづれもいづれも晴れならずといふことぞなき」。
(2)つがい語中・語尾の「ひ」は「い」。「つがひ」→「つがい」。原文「かぶらを取つてつがひ」=矢を弓の弦にかけること。
(3)ひょうど「やう」は「よう」。「ひやう」→「ひょう」。矢が飛ぶ音を表す擬音語。
(4)おめく語頭の「を」は「お」。「をめく」=大声で叫ぶ。語頭でも「を」→「お」となる点に注意。
(5)きょう「けふ」→「きょう」。「け+ふ」が「きょう」になる、覚えておくべき代表例。
(6)たまえ語中・語尾の「へ」は「え」。原文「射させてたばせたまへ」。「たまへ」→「たまえ」。
(7)イ「あやまたず」=ねらいをはずさず、あやまちなく。原文「あやまたず扇の串際一寸ばかりおいて」。
(8)ア「あつぱれ」=みごとだ、りっぱだ。感嘆を表す語。「あはれ」が変化した語で、現代語の「あっぱれ」に残る。
(9)ウ「しばし」=しばらくの間、少しの間。原文「しばしは虚空にひらめきけるが」。
小計 18点
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三 古典の基礎知識 (2点×6=12点)
番号解答解説
(1)ウ(鎌倉時代)えがかれている源平の争乱は平安時代末期の出来事だが、作品として成立したのは鎌倉時代。「えがかれた時代」と「成立した時代」を混同しないこと。
(2)軍記物語合戦や武士の活躍をえがいた物語。『保元物語』『平治物語』『太平記』なども同じジャンル。「歴史物語」「戦記物語」は不可。
(3)琵琶法師琵琶を弾きながら語り歩いた芸能者。その語りは平曲と呼ばれ、文字を読めない人々にも広く伝わった。『平家物語』が「語り物」として整えられた理由。
(4)ア(直喩)「ごとし」「同じ」などの語を使い、「〜のようだ」とたとえる表現が直喩。「隠喩」は「ようだ」などを使わずに言い切るたとえ。
(5)対句「祇園精舎の鐘の声—諸行無常の響きあり」と「沙羅双樹の花の色—盛者必衰の理をあらはす」が対になっている。「対句法」も正答。「反復」「倒置」は不可。
(6)イ(屋島の戦い)讃岐国(今の香川県)屋島での戦い。沖=平家(舟)、陸=源氏(馬)という海と陸の対立が場面設定の前提になる。
小計 12点 / 知識・技能 合計 50点
【歴史的仮名遣いの基本ルール】 ① 語中・語尾のは・ひ・ふ・へ・ほ→わ・い・う・え・お(あはれ→あわれ/つがひ→つがい)。② ゐ・ゑ・を→い・え・お(ゐる→いる/をめく→おめく)。③ au・iu・euの形→ô・yû・yô(やう→よう/けふ→きょう/てふ→ちょう)。④ ぢ・づ→じ・ず(いづれ→いずれ)。
※ 「よつぴいて」の促音・撥音のように、読み方が複数ありうるものは本テストでは出題していません。
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四 「扇の的—『平家物語』から」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
4点
イ扇は「射てみよ」という挑発。当てれば平家の面目が立たず、はずせば源氏が大勢の前で恥をかく。どちらに転んでも源氏に重圧がかかる仕掛け。ア・エは敵対関係と矛盾、ウは本文と無関係。
(2)
5点
(例)射損じれば源氏全体の恥となると考え、重圧を感じたため。(27字)「失敗すれば源氏(主君・味方)全体の恥になる」(3点)+「重圧・不安を感じた」(2点)の二点で採点。
「自信がなかったから」だけは2点。「めんどうだったから」「けがをしたくなかったから」は0点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。文末が「〜ため。」になっていなければ−1点。
(3)
4点
ウ辞退しても義経は許さず、名指しの命令として重ねて命じられた。断れば主君への不忠となる。武士の主従関係が背景にある点が重要。ア「自信があった」は(2)と矛盾するので×。
(4)
4点
イ波に揺れる舟の上の小さな扇という至難の的。「目をふさいで」祈る動作が、人の力をこえた助けを求めるほどの緊張を示す。ウ「信じきっている」は、祈りに続く「射損ずるものならば自害して」という不安と合わない。
(5)
5点
(例)武士としての名誉を、自分の命よりも重いものと考えていたこと。(30字)「名誉・面目・武士としての誇り」(3点)+「命より重い/命を捨てても守るもの」(2点)の二点で採点。
「死ぬ覚悟があったこと」だけは2点。「弓が上手だったこと」は0点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(6)
4点
ア「よつぴいて」=十分に引きしぼって、「ひやうど」「ひいふつと」=矢の音。擬音語・擬態語が、読者をその場に立ち会わせる。琵琶法師が声に出して語ったことと結びつけて考えさせたい。
(7)
2点
七五調七音+五音のくり返し。「五七調」「七五七五」は不可。対句と組み合わさって、語りやすく覚えやすいリズムを生んでいる。
(8)
5点
(例)敵味方の区別を超えて、与一のみごとな腕前を両軍がともに称賛したこと。(34字)「敵味方(源氏・平家)の両方が」(2点)+「与一の腕前・技を称賛した」(3点)の二点で採点。
「源氏が喜んだ」だけは0点(平家もたたえていることが要点)。「音を立てた」など動作をなぞっただけは0点。三十〜四十字から外れたら−1点。
(9)
4点
イ源氏は「どよめき」、平家は「音もせず」。音のあるなしの対比が、勝者と敗者の明暗をくっきりと示している。老武者が射倒された非情さにも気づかせたい。
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四 「扇の的—『平家物語』から」の読解(つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(10)
4点
(例)命中をたたえる声と、無情さを責める声の両方があったこと。(28字)「命中をほめる声」(2点)+「心ない・やりすぎだと批判する声」(2点)の二点で採点。
「意見が分かれたこと」だけは2点。味方の中にも割れる受け止め方があったことを書けているかが分かれ目。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(11)
2点
和漢混交文和語の語り口に漢語・漢文訓読調の表現がまじった文体。「和漢混淆文」も正答。「和文」「漢文」「混合文」は不可。
(12)
7点
(例)華やかな的中の称賛も直後の殺害で消え去り、栄華や命がはかなく移り変わることを示している。(44字)【ルーブリック】
・A(7点)…「称賛・晴れやかさがすぐに失われる(転じる)」+「栄華や命がはかなく移り変わる=無常」の両方が書けている。
・B(5点)…どちらか一方+冒頭の「諸行無常」「盛者必衰」への言及がある。
・C(3点)…「人の命はもろい」「平家はやがて滅びる」など、無常に近い内容が一つだけ書けている。
・D(0点)…場面のあらすじを書いただけ/「与一がすごい」といった感想だけ。
※ 四十〜五十字から外れたら−1点。「無常」を「無情」と書いた場合も−1点。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
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【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. えがかれた時代(平安末期)と成立した時代(鎌倉時代)は別。成立・ジャンルは「鎌倉時代/軍記物語」とセットで覚える。
  2. 『平家物語』は読み物である前に語り物。琵琶法師が平曲として語ったため、七五調・対句・擬音語が多い。
  3. 場面は屋島の戦い。沖=平家(舟)/陸=源氏(馬)という対比が、文章全体の骨組みになっている。
  4. 平家が扇を立てたのは風流ではなく挑発。「当てても当てなくても源氏が困る」仕掛けだと見抜くこと。
  5. 与一の祈りは「信心深いから」ではなく、祈らずにはいられないほどの緊張の表れ。心情を問う設問では「緊張・重圧・不安」の語を使う。
  6. 「自害して、人に二度面を向かふべからず」は、名誉が命より重いという武士の価値観。現代の感覚で「大げさ」と書くと0点。
  7. 扇を射落としたあとの感嘆は源氏だけでなく平家もしている。「敵味方を超えた称賛」が最大のポイント。
  8. 直後の老武者の射殺と「平家の方には音もせず」の静寂を忘れないこと。美しい名場面で終わらせず、合戦の非情さ・無常観へつなげるのがこの教材の山場。
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