中学2年 国語科 教材別テスト⑭ 模範解答・解説
教材別リメイク版 中学2年 国語 / 「挨拶—原爆の写真によせて」(石垣りん)/光村図書『国語2』
【このテストの使い方】 この詩は著作権が存続している現代詩のため、問題用紙・解答にも本文は一行ものせていません。教科書『国語2』の「挨拶—原爆の写真によせて」のページを開いたまま解答します。本文の位置は内容の言いかえでたどらせ、書き抜き問題は出していません。そのかわり、選択と「〜ということ。」「〜という気持ち。」型の記述で、詩の構成と主題をおさえる形にしてあります。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問。④⑨⑩⑯⑰⑱⑲は送りがなまで)1点×20=20点
二語句の知識(慣用句・語の意味・対義語・類義語)2点×7=14点
三詩の表現技法とその効果(技法の識別4点+効果の記述12点)16点
思考・判断・表現
50点
四「挨拶—原爆の写真によせて」の読解(選択19点+記述31点)50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 題名「挨拶」と副題「原爆の写真によせて」の関係から、この詩が一枚の写真に語りかける形をとっていることをつかめるか。
② 写真の中の死者の顔と、今を生きる「わたし」「あなた」の顔が重ね合わされる組み立てと、その入れかわりうるという意味を理解できるか。
③ 具体的な日付が示されていることの重み(広島への原爆投下)を、効果として説明できるか。
④ 危機が過去ではなく現在も続いているという認識と、呼びかけ・反復が生む切迫感を読み取れるか。
⑤ 平和は自明ではなく、意識して守らなければ失われるという主題を、自分の言葉で書けるか。
1 / 7
一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①あいさつ⑪恐怖
②げんばく⑫歓迎
③きんべん⑬衝撃
④かたむ(ける)⑭記憶
⑤ひさん⑮責任
⑥ぎせい⑯失う
⑦しゅんかん⑰祈る
⑧ちんもく⑱刻む
⑨うった(える)⑲緩める
⑩くも(る)⑳空襲
小計 20点
【注意したい字】 ①「挨拶」はどちらも手(扌)へん。書き取りでは出していないが、読めることが大切。②「原爆」の「爆」は火へん。「暴」と書く誤りに注意。⑤「悲惨」の「惨」は「ざん」とも読むが、ここは「ひさん」。⑥「犠牲」は二字ともまちがえやすい。「犠」は牛へん。⑨「訴える」は「うったえる」。送りがなは「える」。⑪「恐怖」はどちらも「心」に関わる字。「恐布」は誤り。⑫「歓迎」の「歓」は「藿」+「欠」。「観」と書き誤らないこと。⑬「衝撃」の「衝」はぎょうにんべん+重。「衡」と書き分ける。⑭「記憶」の「憶」はりっしんべん。「記億」は誤り。⑮「責任」の「責」の下は「貝」。⑯⑰⑱⑲は送りがなまで必要(「失なう」「祈のる」「緩るめる」はいずれも×)。⑳「空襲」の「襲」は「衣」が下にくる。
2 / 7
二 語句の知識 (2点×7=14点)
番号解答解説
(1)イ「耳を傾ける」=心を向けて熱心に聞く。ウのように、首を曲げるという体の動きそのものの意味に取る誤りが多い。
(2)ア「油断」=気をゆるめて注意をおこたること。「油を断つ」と字面から考えてイを選ばないこと。「油断大敵」という四字熟語でもおさえる。
(3)イ「胸を打つ」=強く心を動かされる。「胸がつまる」(言葉が出ない)、「胸をなでおろす」(安心する)と区別する。
(4)未来過去 ⇔ 未来。「現在」は過去と未来の間にあたる語なので×。この詩が、過去の出来事を今と未来の問題として書いていることにつながる対義語。
(5)安全危険 ⇔ 安全。「無事」も意味は近いが、対義語としては「安全」が定着した語。
(6)永久永遠 ≒ 永久。「無限」は「かぎりがない」の意味で、時間の長さに限らないため、ここでは「永久」が最適。
(7)ア「警告」=前もって注意を与え、気をつけるよう強く告げること。この詩の呼びかけの調子を言い表すときに使える語。
小計 14点
3 / 7
三 詩の表現技法と効果 (16点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)①
1点
ア(反復)同じ言葉をくり返している。
(1)②
1点
エ(体言止め)行の終わりが名詞(体言)「町」で止まっている。
(1)③
1点
オ(呼びかけ)「君よ」と相手に直接語りかけている。
(1)④
1点
ク(擬人法)人でない「風」を、人の動作「泣く」で表している。
(2)
3点
(例)同じ言葉がくり返され、意味が強まりリズムも生まれる効果。(28字)「意味・印象が強まる」(2点)+「リズム・調子が生まれる」(1点)。
「同じ言葉をくり返すこと」と技法の説明をしただけのものは0点(=効果になっていない)。20〜30字から外れたら−1点。
(3)
3点
(例)文を名詞で言い切ることで、余韻が残り、印象が強まる。(26字)「余韻が残る/印象が強まる」(2点)+「文が言い切られ、引きしまった感じになる」(1点)。
「名詞で終わる技法」と技法の説明をしただけのものは0点。25〜35字から外れたら−1点。
(4)
3点
(例)内容のまとまりが区切られ、場面や視点の変化が伝わる。(26字)「内容のまとまりごとに区切る」(2点)+「場面・視点・時間の変化が伝わる/間(ま)が生まれる」(1点)。
「読みやすくなる」だけは1点。20〜30字から外れたら−1点。
(5)
3点
(例)出来事が今起きているように感じられ、臨場感が生まれる。(27字)「今起きていることのように感じられる」(2点)+「臨場感・現実味」(1点)。
「昔のことだとわかる」は逆の説明なので0点。20〜30字から外れたら−1点。
小計 16点 / 知識・技能 合計 50点
【「技法名」だけで終わらせないために】 表現技法の問題は、①技法の名前→②その技法が何をしているか→③読者にどう感じさせるかの三段で考える。たとえば「反復」なら、①反復→②同じ語をくり返す→③意味が強まり、調子が生まれる。答案に書くのは③(効果)である。②で止まった答案(例「同じ言葉をくり返している。」)は、設問に答えていないため得点にならない。
4 / 7
四 「挨拶—原爆の写真によせて」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
4点
ウ題名の「挨拶」は、ふだんの朝のあいさつではなく、一枚の写真を見つめた作者が発した呼びかけの言葉を指している。副題「原爆の写真によせて」が、そのきっかけを示している。アの「感謝」、イの「挨拶の仕方の説明」は、どちらも詩の内容からずれている。
(2)
3点
ア「あなた」は、まず原爆で命をうばわれ、写真に写っている人を指す。そのうえで、読み進むうちに「あなた」はこの詩を読んでいる者自身にも向けられていく。ここが(5)(9)につながる重要な点。
(3)
3点
イ一九四五年八月六日は広島に原子爆弾が投下された日。エの長崎は八月九日、ウの終戦(玉音放送)は八月十五日。ここを混同すると(4)も崩れる。
(4)
4点
(例)原爆が実際に起きた出来事だと示し、重みを与える効果。(26字)「実際に起きた事実であることが示される」(2点)+「重みや現実味が生まれる/ごまかせなくなる」(2点)。
「日付を書いている」と事実をなぞっただけのものは0点。25〜35字から外れたら−1点。
(5)
3点
エこの詩の最大の仕掛け。写真の中の顔と、今ここにある顔とが重ねられることで、「死んだのはあの人で、生きているのは自分」という区別が崩れ、見かけの違いをこえた深い結びつき(立場の入れかわり)が見えてくる。アの「顔かたちが似ている」は見かけの話で誤り。
(6)
5点
(例)写真の中の死者は、自分であったかもしれないということ。(27字)「写真の中の死者と自分が入れかわりうる」(3点)+「自分であったかもしれない/自分のことでもある」(2点)。
「かわいそうだと思うということ。」のような感想は0点。「〜ということ。」の形で結べていない答案は−1点。25〜35字から外れたら−1点。
(7)
3点
エこの詩は、原爆を過去の記録としてではなく、今も目の前にある危機として書いている。だから「今とは切り離された過去の出来事」(ア)、「考えても仕方がない」(イ)、「特別な人だけの不幸」(ウ)は、いずれも詩の訴えと正反対。
(8)
3点
イ読者に直接語りかける言い方や、同じ言い方のくり返しによって、読者にじわじわと、しかし強くせまってくる切迫した調子が生まれている。ア・ウ・エのような、おだやかさ・なつかしさ・軽さは生まれない。
(9)
4点
(例)読者が自分も当事者だと感じ、他人事にできなくなる効果。(27字)「読者が自分に向けられた言葉だと感じる」(2点)+「他人事にできない/責任を引き受けさせられる」(2点)。
「ていねいな感じになる」「親しみがわく」は0点。25〜35字から外れたら−1点。
5 / 7
四 「挨拶—原爆の写真によせて」の読解(つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(10)
6点
(例)平和は当たり前ではなく、意識して守らなければ失われるということ。(32字)「平和は自明(当たり前)ではない」(3点)+「意識して守らなければ失われる/油断すればくり返される」(3点)。
「戦争はよくない」だけのものは2点。「原爆は悲しい出来事だった」と過去の感想で止まったものは1点(=「現在も続く危機」の視点が抜けている)。25〜40字から外れたら−1点。
(11)
8点
(例)原爆は遠い昔の出来事ではなく、油断すれば今の自分にも起こりうる。だから私は、戦争や核兵器の問題を他人事にせず、平和を守る努力を続けたい。(68字)【ルーブリック】
8点…(a)詩の内容(写真の死者と自分の重なり/危機は現在も続く/平和は自明でない のいずれか)にふれている+(b)それを受けた自分の考え・これからの姿勢が書かれている+(c)六十字以上八十字以内+(d)文として整っている。
6点…(a)(b)はあるが、(c)または(d)に不足がある。
4点…(a)はあるが(b)が感想(「かわいそう」「こわい」)で止まっている。
2点…詩の内容にふれず、戦争一般への感想だけを書いている。
0点…無記述、または詩と関係のない内容。
※字数が範囲外の場合は上記から−1点。固定の正解はないので、自分の言葉で書けているものを広く認める。
(12)
4点
(例)呼びかけの行は、相手に語りかけるように少し間をとって読む。読み手が自分に向けて言われていると感じられるようにしたいからだ。【ルーブリック】
4点…具体的な工夫(例:呼びかけの部分は間をとる/戒めの部分は声を低めてゆっくり読む/くり返しの部分は少し強めて読む/連と連の間はしっかり間をおく)+その理由(例:切迫感を出すため/読者に迫るため/内容の転換を伝えるため)の両方が書けている。
2点…工夫だけ、または理由だけ。
1点…「大きな声で読む」など、詩の内容と結びつかない工夫のみ。
0点…無記述。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
6 / 7
【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. 題名の「挨拶」は、日常のあいさつではなく写真の中の死者への語りかけ。副題「原爆の写真によせて」がその相手を示している。
  2. 「あなた」は写真の中の死者であり、同時にこの詩を読んでいる自分でもある。二重になっていることに気づけるかが分かれ目。
  3. 「一九四五年八月六日」は広島への原爆投下の日。長崎(八月九日)や終戦(八月十五日)と混同しやすい。
  4. 日付が具体的であることは効果である。「実際に起きたこと」として読者に重くのしかかる。
  5. 死者の顔と生者の顔が重ねられるのは「似ている」という話ではなく、立場が入れかわりうるという話。
  6. この詩は原爆を過去の記録として書いていない。危機はすでにこの場にあり、現在も続いているという認識が中心。
  7. 呼びかけと反復は、やさしさではなく切迫感・警告を生む。「おだやかな調子」と答えてしまう誤りが多い。
  8. 主題は「戦争はよくない」では足りない。平和は自明ではなく、意識して守らなければ失われる——ここまで書くこと。
7 / 7