中学2年 国語科 教材別テスト⑬ 「走れメロス」 模範解答・解説
教材別リメイク版 中学2年 国語 / 「走れメロス」(太宰治)/光村図書『国語2』
【このテストの使い方】 本文は載せていません。教科書『国語2』の「走れメロス」のページを開いたまま解答します。長い物語なので、場面ごとにメロスの気持ちがどう変わるかを追いながら読み直すことが大切です。とくに、路傍に倒れて約束をあきらめかけた場面と、泉の水を飲んで立ち上がる場面の二か所が、この教材の中心になります。記述は、必ず指定された文末の形(「〜ため。」「〜気持ち。」「〜こと。」)でそろえて書きましょう。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問/⑨⑩⑰⑱⑲は送りがな必要)1点×20=20点
二語句の知識(語の意味・類義語・対義語・慣用句)2点×7=14点
三文法(十品詞の識別・自立語と付属語・活用の有無)2点×8=16点
思考・判断・表現
50点
四「走れメロス」の読解(12小問)50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 十品詞を見分け、自立語と付属語・活用の有無という観点で語を整理できるか。
② この作品特有の硬質な語彙(暴君・邪知暴虐・未練・嘲笑・悠々)の意味をおさえているか。
③ メロスと王(ディオニス)の対立の中身=「人は信じられるか」という問題だと理解しているか。
④ 路傍に倒れて言い訳をする場面に表れたメロスの弱さと、そこから立ち上がる動機の転換(「走るのは名誉のためではなく、信じられているからだ」)を言葉にできるか。
⑤ 二人が殴り合ってから抱き合う意味、王の改心、最後の赤面の一文の効果まで、結末のしかけを読み取れるか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①ぼうふう⑪冒険
②げきど⑫計画
③ゆうよ⑬習慣
④ひとじち⑭友情
⑤いんぼう⑮決心
⑥けんきょ⑯群衆
⑦いずみ⑰叶える
⑧だくりゅう⑱沈む
⑨あざむ(く)⑲着く
⑩は(じる)⑳誠実
小計 20点
【注意したい字】 ③「猶予」は「ゆうよ」。「猶」を「犬」偏で書きまちがえやすく、「ゆうじょ」という誤読も多い。④「人質」は「ひとじち」。「じんしつ」は誤り。⑤「陰謀」は「いんぼう」。「陰」はこざとへん、「謀」はごんべん。⑥「謙虚」は「けんきょ」。⑦「泉」は「いずみ」。⑨「欺く」⑩「恥じる」は送りがなまで必要(「恥る」は×)。⑪「冒険」の「冒」は「日」の上に「冂」、「険」はこざとへん。⑬「習慣」の「慣」はりっしんべん。⑯「群衆」は「群集」と区別(人の集まりは「群衆」)。⑰「叶える」は送りがな「える」まで。⑲「着く」は送りがな「く」まで。⑳「誠実」の「誠」はごんべん。「信実」とまちがえないこと(作品中の語は「信実」)。
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二 語句の知識 (2点×7=14点)
番号解答解説
(1)ウ「暴君」=自分の思いのままに乱暴な政治を行う君主。この作品の王(ディオニス)をさす語で、物語の出発点になる。
(2)イ「邪知暴虐」=「邪知(悪知恵)」+「暴虐(むごく乱暴なふるまい)」。四字がすべて悪い意味をもつ、重い語。
(3)イ「未練」=思いきれずに心が残ること。「練習が足りない」という意味ではない(「未熟」と混同しやすい)。
(4)イ「悠々」=ゆったりと落ち着いている様子。あわてず構える態度を表す。
(5)エ「嘲笑」=人をあざけり笑うこと。相手を見下して笑う点で「冷笑」が類義語。ア微笑(ほほえみ)・イ苦笑(苦々しい笑い)・ウ爆笑(大笑い)は意味がちがう。
(6)反抗
(「抵抗」も可)
服従(相手に従う)⇔反抗(相手に逆らう)。メロスと王の関係そのものを表す対義語。
(7)腹「腹を割って話す」=かくしごとをせず、本当の気持ちを打ち明ける。結末で二人が告白し合う場面と重なる慣用句。「胸」「心」は×。
小計 14点
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三 品詞の識別 (2点×8=16点)
番号──線部・対象の語解答解説(見分け方)
(1)激怒ア 名詞「〜は」「〜が」をつけて主語にできる。「激怒する」の形で動詞にもなるが、ここは単独で名詞。
(2)のんきなエ 形容動詞言い切りの形が「〜だ」(のんきだ)。「〜な」で名詞を修飾する。連体詞とまちがえやすいが、活用する点がちがう。
(3)走っイ 動詞言い切りの形がウ段(走る)。「走っ」は促音便の形。
(4)やがてオ 副詞用言(「傾きはじめた」)を修飾し、活用しない。
(5)あのカ 連体詞活用せず、体言(名詞)だけを修飾する。「この・その・あの・大きな・ある」など。
(6)けれどもキ 接続詞文と文をつなぐ(逆接)。文の先頭にあって、独立して接続の働きだけをしている。※助詞の「けれども」(「重いけれども」)との区別に注意。
(7)は/を/たい/思っア・イ・ウ
【完答】
ア「は」=助詞、イ「を」=助詞、ウ「たい」=助動詞で、いずれも単独で文節を作れない付属語。エ「思っ」は動詞=自立語なので除く。三つそろって2点、一つでも欠けたり余ったりすれば0点。
(8)けれども/ああ/来る/
悲しい/すぐに
ア・イ・オ
【完答】
ア「けれども」=接続詞、イ「ああ」=感動詞、オ「すぐに」=副詞は活用しない。ウ「来る」=動詞、エ「悲しい」=形容詞は活用する。三つそろって2点(完答)。
小計 16点 / 知識・技能 合計 50点
【品詞を見分ける三つの手順】 ① 自立語か付属語か…単独で文節を作れるか。作れないのは助詞・助動詞だけ。② 活用するか…動詞・形容詞・形容動詞・助動詞は活用する。③ 何を修飾するか・言い切りの形…連体詞=体言だけを修飾/副詞=主に用言を修飾、言い切りが「〜う」=動詞、「〜い」=形容詞、「〜だ」=形容動詞。「のんきな」を連体詞、「やがて」を接続詞とする誤りが多い。
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四 「走れメロス」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
4点
イ冒頭でメロスは、王が人を信じられずに次々と命をうばっているという話を聞き、「暴政は許せない」という正義感から激怒する。ア・ウ・エは本文にない。
(2)
4点
イ王は人の心を初めから当てにしていない。この人間観が、メロスの「人を信じる」という考えと正面からぶつかり、物語の対立軸になる。
(3)
5点
(例)たった一人の妹の結婚式を挙げさせ、見送ってやるため。(26字)「妹の結婚式(婚礼)」(3点)+「挙げさせる/見送る=済ませてから戻る」(2点)で採点。
「逃げるため」「王をだますため」は0点。文末が「〜ため。」でなければ−1点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(4)
4点
ウ王は猶予をメロスが本当に約束どおり戻るかを見届ける機会として与えた。本心では戻らないと見こんでおり、戻らなければ自分の考えが正しいと示せる。ア・イ・エのような好意や同情からではないので×。
(5)
4点
ア・イ・ウ
【完答】
氾濫した川(橋の流失)→山賊の待ちぶせ→照りつける日ざしとひどい暑さ、と妨害が段階的に重くなる。エ・オは本文にない。三つそろって4点、欠けても余っても0点。
(6)
6点
(例)疲れ切った体では走れないと言い訳をして、約束を投げ出したい気持ち。(33字)「疲れ果てて、もう走れない」(2点)+「自分に言い訳をしている/開き直り」(2点)+「約束をあきらめたい・投げ出したい」(2点)で採点。
倒れた様子をなぞっただけ(例「道に倒れた」)は0点。ここはメロスの最も人間的な弱さが出る場面であり、「友を思って悲しんだ」と美化してしまった答えは最大3点。文末が「〜気持ち。」でなければ−1点。三十〜四十字から外れたら−1点。
(7)
3点
ウ泉の水で生き返った後、メロスを走らせるのは「信じられている」という事実。ここで動機が名誉・義務から、友の信頼に応えることへと転換する。
(8)
3点
ア「わけのわからぬ大きな力」は、理屈や計算をこえたところから人を動かす力。名誉や義務ではないからこそ「わけのわからぬ」と表現されている。イの超人的体力ではない。
(9)
5点
(例)互いに一度は相手を疑った弱さを認め合い、許し合って信頼を取りもどしたこと。(37字)「一度は疑った=自分の弱さを互いに正直に認める」(3点)+「許し合い、本当の信頼を結び直す」(2点)で採点。
「けんかをした」「仲直りした」だけは最大1点。殴り合いは怒りではなく、弱さを隠さない正直さの表れである点をおさえているかが分かれ目。文末が「〜こと。」でなければ−1点。三十〜四十字から外れたら−1点。
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四 「走れメロス」の読解(つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(10)
3点
イ王は言葉ではなく、二人の姿そのものによって「信実」が実在すると知らされ、考えを改める。アのような外からの圧力ではない。
(11)
3点
イ緋のマントと赤面によって、メロスは英雄から、はにかむ一人の若者に戻る。張りつめた場面のあとに笑いと明るい余韻を置く、効果的な結び。
(12)
6点
(例)相手を疑わず、約束を守り抜こうとする心のまことで、人と人とを結びつける力をもつものである。(45字)【ルーブリック】①「人を信じる/疑わない」(2点)②「約束や誠意を最後まで守り通す心」(2点)③「人と人とを結びつける/空虚な妄想ではなく実在する」(2点)。
①②③のうち二つなら4点、一つなら2点。「正直なこと」だけの一語答えは1点。四十〜五十字から外れたら−1点。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. メロスの激怒の相手は王の暴政。個人的なうらみではなく、「人を信じない」という王の考えへの怒りである。
  2. 猶予は王の情けではない。「人は信じられない」ことを証明するための仕掛けとして与えられている。
  3. セリヌンティウスは人質であり、メロスが戻らなければ代わりに死ぬ。「命を預けた」という重さを忘れないこと。
  4. 最大の山場は、間に合った場面ではなく路傍で倒れて言い訳をする場面。メロスは一度は約束をあきらめかけた。
  5. 立ち上がった後の動機は「名誉のため」ではなく「信じられているから」。動機の転換をおさえる。
  6. 「わけのわからぬ大きな力」は体力や復讐心ではなく、理屈をこえた心の働き。
  7. 殴り合いは仲たがいではない。疑った弱さを互いに正直に認め合う行為であり、だからこそ抱き合える。
  8. 最後の緋のマント・赤面は、英雄譚を人間の物語に戻す一文。「よけい」な場面ではない。
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