作られた「物語」を超えて 模範解答・解説
教材別リメイク版 中学3年 国語 / 山極寿一・光村図書『国語3』
【このテストの使い方】 本文は載せていません。教科書『国語3』の「作られた「物語」を超えて」のページを開いたまま解答します。この文章は、ゴリラを長年観察してきた筆者が、世の中に広まっていた誤ったゴリラ像(=作られた「物語」)を、自分の観察した事実によって問い直していく説明的文章(論説文)です。「通説 → 疑問 → 観察 → 原因の分析 → 主張」という論の流れをたどれるかどうかが最大のポイントなので、記述問題を多めにしています。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問)1点×20=20点
二語句の知識(語の意味・対義語・類義語・四字熟語・慣用句・ことわざ)2点×7=14点
三接続語・指示語と論の展開16点
思考・判断・表現
50点
四「作られた「物語」を超えて」の読解50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 筆者がゴリラを野外で観察してきた霊長類学者であり、主張が自分の観察した事実に支えられていることを理解しているか。
② かつての「ドラミング=攻撃の合図」「凶暴な怪物」という見方が、人間が作り上げた「物語」であると説明できるか。
③ 誤解が生まれた原因を、断片的な観察・西洋の価値観・映像によるイメージの増幅という三つに整理できるか。
④ 誤解の背後に人間自身の社会観・暴力観の投影があるという、一段深い指摘を読み取れるか。
⑤ 接続語・指示語を手がかりに論の展開(譲歩→反論、具体→抽象など)をたどり、筆者の主張を自分の言葉で書けるか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①きょうぼう⑪経験
②ごかい⑫否定
③ちゅうさい⑬支配
④へんけん⑭保護
⑤いかく⑮批判
⑥しょうとつ⑯認識
⑦くつがえ(す)⑰想像
⑧おさ(える)⑱挑む
⑨はいじょ⑲傷つける
⑩しょうちょう⑳強調
小計 20点
【注意したい字】 ①「凶暴」は「狂暴」とも書くが、この教材では「凶暴」でそろえる。読みは同じ。③「仲裁」は「ちゅうさい」。「なかさい」は×。⑤「威嚇」の「嚇」は口へん。読めても書けない字なので、読みだけ覚えておく。⑦「覆す」は送りがなが必要(「くつがえ」だけでは×)。⑧「抑える」は「押える」と混同しやすいので、ここでは「おさ(える)」と答える。⑫「否定」の「否」は「不」と形が似ているので注意。⑮「批判」の「批」は「てへん」、「判」は「りっとう」。⑭「保護」の「保」は「にんべん」。⑰「想像」と「創造」の書き分けに注意(ここは頭の中で思いうかべる意味なので「想像」)。⑱「挑む」(送りがなは「む」)⑲「傷つける」は送りがなまで書けて正答。
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二 語句の知識 (2点×7=14点)
番号解答解説
(1)ア「凶暴」=性質があらあらしく、乱暴で危険なこと。イ「体が大きく力が強い」は体格の話で、性質の話ではない。この区別が、この教材のテーマそのものにつながる。
(2)イ「断片的」=きれぎれで、全体の一部分にすぎないこと。⇔「総合的・全体的」。誤解の原因を説明するときの重要語。
(3)主観的客観的 ⇔ 主観的。「客観」⇔「主観」でもよいが、問いが漢字三字なので「主観的」と書く。
(4)イ「先入観」=前もってもってしまった思いこみ。「偏見」=かたよった見方。どちらも事実を確かめる前に固まってしまった見方で、類義語の関係。エ「根拠」は反対に近い語。
(5)色「十人十色」=考え方や好みが人によってそれぞれちがうこと。「十人十食」などの同音異字に注意。
(6)ア「一目置く」=相手のすぐれた点を認めて、敬意をはらう。もと囲碁で、実力が上の相手に先に一目(石一つ)を置かせてもらうことから。
(7)イ「百聞は一見にしかず」=人から百回聞くより、一度自分の目で見るほうが確かだということ。筆者の主張(自分の目で確かめる)と重なる。
小計 14点
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三 接続語・指示語と論の展開 (16点)
番号解答解説
(1)
1点
ア(順接)「だから」=前が原因・理由、後が結果。「したがって」「それで」「そこで」も同じ働き。
(2)
1点
イ(逆接)「しかし」=前から予想される内容と逆の内容が続く。「だが」「ところが」「けれども」も同じ。論説文では筆者の言いたいことが「しかし」の後ろに来ることが多い。
(3)
1点
ウ(並立)「また」=前後を対等に並べる。前後を入れかえても意味が変わらないのが見分け方。
(4)
1点
エ(添加)「しかも」=前の内容にさらに付け加える。「そのうえ」「さらに」も同じ。ウ(並立)との区別…入れかえられない=添加。
(5)
1点
カ(説明・補足)「つまり」=前の内容を言いかえ・要約する。ここは「一日も休まなかった」という具体を「皆勤だった」というまとめに言いかえている。
(6)
1点
キ(転換)「ところで」=話題を別のものに変える。選択肢オ(対比・選択)は「それとも」「または」などが入る働きで、ここでは使わない。
(7)
1点
×4
① したがって
② むしろ
③ つまり
④ ただし
①前(記事が何度も載った)が理由、後(もうなくなったと思っている)が結果=順接なので「したがって」。
②「〜ではない。( )、〜だ」の形は、打ち消したうえでより適切な見方を示す「むしろ」。
③前の調査結果を言いかえてまとめるので「つまり」。
④いったん述べた内容に条件・例外を付け加えるので「ただし」。
各1点。順番がずれると連鎖して失点するので、②「むしろ」から決めるとよい。
(8)
3点
(例)昼休みに全員で読書をすること(14字)指示語は直前を探すのが原則。「これ」は前の文の内容全体を指す。
採点…「昼休みに(全員で)読書をする」という内容が書けていれば3点。「学校」とだけ書いたもの、「午後の時間を過ごすこと」と書いたもの(=目的のほうを書いてしまったもの)は0点。十五字を超えたら−1点。文末は「〜こと」の形にそろえる。
(9)
3点
ウ(譲歩→反論)「確かに〜。しかし〜。」は、いったん相手の言い分を認めて(譲歩)から、自分の主張を述べる(反論)型。この型を見つけたら、「しかし」の後ろが筆者の主張だと判断してよい。大問四の文章全体も、この型の大きな形になっている。
小計 16点(6+4+3+3) / 知識・技能 合計 50点
【接続語から論の流れを読むコツ】 ① 「しかし」「ところが」=ここから筆者の言いたいこと。② 「つまり」「すなわち」=直前の内容のまとめなので、要旨をつかむ手がかり。③ 「なぜなら」「というのは」=根拠の提示。④ 「確かに〜。しかし〜。」=譲歩→反論。⑤ 「例えば」=具体例。その前か後ろに抽象的なまとめがある。
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四 「作られた「物語」を超えて」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
2点
ア筆者(山極寿一)は、アフリカで長年ゴリラを野外観察してきた霊長類学者。この文章の説得力は「自分で見た」という立場に支えられている。
(2)
2点
ア「ドラミング」=ゴリラが両手で自分の胸をたたく行動。イ・ウ・エはゴリラの別の行動で、ドラミングではない。この行動の意味が、通説と筆者の観察とで大きくちがう点が、文章の中心になる。
(3)
4点
ウかつてドラミングは「敵に攻撃をしかける合図」と説明され、ゴリラは凶暴な動物だとされてきた。これが「作られた「物語」」の中心。ア・イ・エのような説明はされていない。
(4)
4点
(例)相手との争いを避けるための自己主張であること。(23字)「争いを避ける(戦いを回避する)」(2点)+「自己主張・意思表示」(2点)の二点で採点。
「相手をおどすための行動」「攻撃の合図」は0点(通説のまま)。「胸をたたく行動」のように動作の説明だけのものも0点(はたらきを問われている)。
文末が「〜こと。」でないものは−1点。二十〜三十字から外れたら−1点。
(5)
5点
ア・ウ・エ誤解が生まれた原因は、①短期間・断片的な観察(ア)、②西洋の価値観を通した見方(ウ)、③映画などによるイメージの増幅(エ)の三つ。
イ…体の大きさが小さく伝えられたという話はない。オ…ゴリラの数が増えたという話はない(むしろ減っている)。
ア・ウ・エの三つがそろって5点(完答)。一つでも欠けたり、余分に書いたりしたら0点。
(6)
4点
イゴリラの群れは力による一方的な支配ではなく、対立が起きたときに間に入って収める仲裁の動きがあり、たがいに共存していく関係で成り立っている。ア(力の支配)は、まさに人間が思いこんできた誤ったイメージ。
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四 「作られた「物語」を超えて」の読解 (つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(7)
5点
(例)人間自身がもつ社会観や暴力観を、そのままゴリラに重ねて見ていたこと。(34字)「人間自身の社会の見方・暴力についての考え」(3点)+「それをゴリラに重ねて(投影して)見ていた」(2点)の二点で採点。
「ゴリラをよく知らなかったから」のように知識不足だけに理由を求めたものは2点まで。
「人間が悪いから」のような漠然とした答えは0点。三十〜四十字から外れたら−1点。
(8)
6点
(例)事実を確かめないまま信じ続けられ、誤った見方が正しい知識として定着してしまう危険。(41字)「事実を確かめずに(確認なしに)」(3点)+「信じ続けられ、誤った見方が定着してしまう」(3点)の二点で採点。
「うのみにされてしまう」「疑われなくなる」も可。
「人に迷惑がかかる」など、事実確認の欠落に触れていない答えは2点まで。「物語はおもしろいから広まる」は0点。四十〜五十字から外れたら−1点。
(9)
4点
イ筆者の主張は、自分の目で確かめ、相手の立場に立って理解し直すことで「作られた物語」を超えられるということ。ウのような「分かり合えない」という結論にはなっていない。
(10)
4点
イ通説の提示→通説への疑問→自身の観察の報告→誤解が生じた原因の分析→主張という、論説文の典型的な構成。ウは小説・随筆の構成、エは社会科のレポートの構成で、この文章にはあてはまらない。
(11)
4点
エこの文章でいう「物語」は、実際とはちがうのに人々の間に広まり、信じられてきたイメージや見方のこと。ア…楽しむための作り話という意味ではない。イ…動物が語る話ではない。ウ…映画の筋書きを指すのではなく、映画などはイメージを広める手段の一つ。
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四 「作られた「物語」を超えて」の読解 (つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(12)
6点
(例)血液型で性格が決まるという話は、根拠を自分で調べ、思いこみで人を決めつけないようにしたい。(45字)【ルーブリック】
 A 例の具体性(2点)…「血液型と性格」「〇〇県の人は〜」「女子は理科が苦手」など、根拠が不確かなまま信じられている見方を具体的に挙げている=2点/「うわさ」「偏見」など漠然とした語だけ=1点/例がない=0点。
 B 向き合い方(3点)…「自分で調べる・確かめる」「決めつけない」「相手の立場で考え直す」のうち二つ以上=3点/一つ=2点/「気をつけたい」だけ=1点。
 C 字数・表記(1点)…四十〜五十字で、文末がそろい、誤字がない=1点。
 ※本文の主張(自分の目で確かめる/相手の立場に立つ)とつながっていることが条件。単なる感想(「おどろいた」等)は0点。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. 筆者はゴリラを野外で観察し続けた研究者。主張の根拠は「読んだ知識」ではなく自分が見た事実である。
  2. 「作られた「物語」」とは人間がゴリラについて勝手に作り上げた誤ったイメージのこと。ゴリラが語る物語ではない。
  3. ドラミングは攻撃の合図ではない。争いを避けるための自己主張である。ここを通説のまま書くと記述は全滅する。
  4. 誤解の原因は三つ(断片的な観察・西洋の価値観・映像によるイメージの増幅)。一つだけ書くと減点される。
  5. ゴリラの群れは力による支配ではなく、仲裁による共存。「ボスが力で従わせる」は人間側の思いこみ。
  6. 誤解の背後には人間自身の社会観・暴力観の投影がある。つまりこの文章はゴリラ論であると同時に人間論。
  7. 一度広まった「物語」は事実を確かめられないまま信じ続けられる。この危険を書く記述が最も配点が高い。
  8. 主張は「物語を捨てろ」ではなく「自分の目で確かめ、相手の立場に立って理解し直せ」。言いすぎた選択肢にひっかからないこと。
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