中学3年 国語科 教材別テスト⑥ 模範解答・解説
教材別リメイク版 中学3年 国語 / 「万葉・古今・新古今」/光村図書『国語3』
【このテストの使い方】 教科書の現代語訳・鑑賞文・脚注は一切載せていません。大問四は教科書『国語3』の「万葉・古今・新古今」のページを開いたまま解答します。問題用紙に示した和歌A〜Hは、すべて『万葉集』『古今和歌集』『新古今和歌集』の原文(歴史的仮名遣い)です。この単元は「おぼえるだけ」で終わりやすいので、①三つの歌集を区別する知識と、②修辞のはたらきを自分の言葉で説明する力の二本立てで出題しています。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問)1点×20=20点
二和歌の形式と修辞(三十一音・上の句/下の句・長歌・枕詞・序詞・掛詞・本歌取り)18点
三古典の基礎知識(三つの歌集の成立・撰者・万葉仮名・東歌/防人歌)2点×6=12点
思考・判断・表現
50点
四和歌A〜Hの読解(成立順・歌風・修辞の効果・句切れ・主題・本歌取り・自分の選歌)50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 三つの歌集の成立順・時代・歌風を、取りちがえずに区別できるか。
② 枕詞・序詞・掛詞・本歌取り・体言止めを、名前と「はたらき」の両面から理解しているか。
③ 句切れを手がかりに、三十一音の中の意味のまとまりをとらえられるか。
④ 歌の言葉から、恋・家族・故郷・四季といった主題を読み取り、自分の言葉で説明できるか。
⑤ 本歌取りの仕組みを説明したり、心に残った一首について理由を筋道立てて書いたりできるか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①ろうえい⑪歌人
②へんさん⑫自然
③よ(む)⑬驚く
④ゆうげん⑭武士
⑤しゅうじ⑮朝廷
⑥ゆうび⑯故郷
⑦おもむき⑰情景
⑧かすみ⑱激しい
⑨むらさき⑲桜
⑩した(う)⑳露
小計 20点
【注意したい字】 ①「朗詠」は「ろうえい」。声に出して節をつけて詠むこと。②「編纂」は「へんさん」。「編集」とほぼ同じ意味だが読みが難しい。③「詠む」と「読む」はどちらも「よむ」。和歌をつくるときは「詠む」。⑤「修辞」は「しゅうじ」。「しゅうし」と濁らない誤りに注意。⑦「趣」は一字で「おもむき」。「趣味(しゅみ)」の読みに引かれないこと。⑩「慕う」は「したう」。「ぼう」としないこと。③・⑩・⑬・⑱は送りがなまで必要。⑬「驚く」は「敬」+「馬」。⑮「朝廷」は「庭」ではなく「廷」(えんにょう)。⑱「激しい」は「激」の右側の形に注意。⑲「桜」は旧字「櫻」と混同しないこと。⑳「露」は雨かんむり+路。
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二 和歌の形式と修辞 (18点)
番号解答解説
(1)
2点
三十一5+7+5+7+7=31。漢数字で「三十一」と書けていれば正答。「31」とアラビア数字で書いたものも内容は正しいので正答としてよいが、指示どおり漢数字で書く習慣をつけさせたい。
(2)
2点
みそひともじ短歌の別名は「三十一文字」=みそひともじ。「さんじゅういちもじ」と読んだものは×。「みそ」は三十、「ひと」は一を表す古い言い方。
(3)
2点
完答
五・七・五=上の句
七・七=下の句
前半3句を上の句、後半2句を下の句という。連歌・俳句の成立にも関わる大事な用語。両方そろって2点。
(4)
2点
イ長歌=五・七をくり返し、最後を五・七・七で結ぶ長い形式。多くは後に短い歌(反歌)がそえられる。ウ旋頭歌は「五・七・七/五・七・七」の六句の形式、エ連歌は複数の人が上の句・下の句を続けていく、後の時代の文芸。
(5)①
1点
ウ(母)「たらちねの」→母(親)。「垂乳根」=乳をたらして育ててくれた人の意とされる。
(5)②
1点
イ(山)「あしひきの」→山。「足を引きずって登る山」のイメージから。
(5)③
1点
エ(天)「ひさかたの」→天(天・空・雲・月・光など、空に関わる語)。
(5)④
1点
ア(衣)「しろたへの」→衣(袖・袂など衣に関わる語)。枕詞は、ふつう五音で、それ自体は訳さなくてよい点が序詞との大きな違い。
(6)
2点
序詞序詞=ある語句を導くための、二句以上の長い前置き。枕詞とちがって音数も決まっておらず、歌ごとに作者が工夫する。また、序詞は意味を訳して味わう。
(7)
2点
掛詞掛詞=同音を利用して一語に二つの意味を重ねる技法。三十一音という短さの中に二重の内容をこめるための、古今和歌集以降に特に好まれた工夫。「掛言葉」も可。
(8)
2点
本歌取り本歌取り=昔の有名な歌(本歌)の語句をわざと取り入れる技法。『新古今和歌集』の大きな特色。「ほんかどり」とひらがなでも内容は正しいが、漢字を使って「本歌取り」と書く指示に合わせたい。
小計 18点
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三 古典の基礎知識 (2点×6=12点)
番号解答解説
(1)
2点
万葉仮名まだ平仮名・片仮名がなかった時代、漢字の音や訓を借りて日本語の音を書き表した。この表記が『万葉集』に用いられているので万葉仮名という。
(2)
2点
ア大伴家持は『万葉集』の編集に深く関わったとされる歌人。イ紀友則は『古今和歌集』の撰者の一人、ウ源実朝は鎌倉幕府の将軍で歌集『金槐和歌集』の作者。エ松尾芭蕉は江戸時代の俳人で、和歌集とは関係がない。人物と歌集の組み合わせは最もよく問われる。
(3)
2点
勅撰勅撰=天皇(または上皇)の命令で編まれること。『古今和歌集』は日本で最初の勅撰和歌集(これが「古今」で、「新古今」より前の成立である根拠にもなる)。『万葉集』は勅撰ではない点に注意。
(4)
2点
仮名序『古今和歌集』には、ひらがなを主として書かれた序文(仮名序)と、漢文で書かれた序文(真名序)がある。仮名序は撰者の中心である紀貫之が書いたとされ、「やまと歌は、人の心を種として……」で始まる、日本の文学論の出発点とされる文章。
(5)
2点
後鳥羽『新古今和歌集』は後鳥羽上皇の命により、藤原定家らが撰にあたった。「後鳥羽天皇」は上皇として命じたので、ここでは「後鳥羽」が書けていれば可とする。
(6)
2点
完答
東国の歌=東歌
兵士の歌=防人歌
東歌=東国の人々の歌。防人歌=九州の防衛のために送られた兵士やその家族の歌。どちらも『万葉集』にしか見られない、庶民の歌。両方そろって2点。
小計 12点 / 知識・技能 合計 50点
【枕詞・序詞・掛詞の見分け方】 ①枕詞…ふつう五音で、決まった語を導く。訳さなくてよい(例:たらちねの→母)。②序詞…二句以上の長い前置きで、歌ごとにちがう。訳して味わう。③掛詞…一つの語に二つの意味。「どちらの意味でも読める」と気づくことがポイント。長さを手がかりにすると、枕詞(五音)と序詞(二句以上)はすぐ区別できる。
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四 和歌A〜Hの読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
3点
完答
ウ → ア → イ万葉集(奈良時代)→古今和歌集(平安時代)→新古今和歌集(鎌倉時代)。三つそろって3点。部分正答は0点。「古今」より「新古今」が新しいことは名前からも判断できる。
(2)①
2点
ア(万葉集)奈良時代・ますらをぶり。「ますらを」は立派な男子の意で、感動をかざらずに力強くうたう歌風。
(2)②
2点
イ(古今和歌集)平安時代・たをやめぶり。「たをやめ」はしなやかな女性の意で、優美で技巧的(掛詞・縁語など)な歌風。
(2)③
2点
ウ(新古今和歌集)鎌倉時代・本歌取りや体言止めを多く用い、言い切らずに余情を残す幽玄の美をめざす歌風。
(3)
3点
完答
枕詞=あかねさす
導く語=紫野(「紫」でもよい)
「あかねさす」は五音の枕詞で、ここでは「紫野」を導いている。両方そろって3点(片方だけは0点)。歴史的仮名遣いのまま抜き出していれば正答。「標野」「野守」と答えたものは×。
(4)
3点
イ「野守は見ずや」=見張りの者が見ているのではないか、という人目を気にする気持ちと、「君が袖振る」=相手が自分に合図を送っている喜びが重なる、恋の歌。アは山の景色をうたった歌(A〜Hにはない)の主題、ウは防人歌・東歌の主題、エはFの主題と混同したもの。
(5)
5点
(例)どんな財宝よりも子どもこそまさる宝だと思う、親の深い愛情。(29字)「銀・金・玉(財宝)よりも子どもがすぐれた宝である」(3点)+「親(子)を思う愛情・いとしさ」(2点)の二点で採点。「お金はいらないということ。」のように子どもへの愛情にふれていないものは2点止まり。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(6)
4点
(例)人の心は変わっても、故郷の花の香りは昔のままだという思い。(29字)対比は「変わってしまう人の心」⇔「昔と変わらない花(故郷)の香り」。この二つの対比が書けていれば4点。片方だけなら2点。「花がきれいだという気持ち。」は0点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(7)
4点
完答
一つめ=長雨(長く降り続く雨)
二つめ=眺め(物思いにふけって眺めること)
「ながめ」に「長雨」と「眺め」が掛けられている。両方そろって4点、片方だけは2点。あわせて「ふる」に「降る」と「(年月を)経る」が掛けられていることも確認させたい。
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四 和歌A〜Hの読解 (つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(8)
技法名
2点
体言止め「秋の夕暮れ」という名詞(体言)で歌を結んでいる。「名詞止め」も可。「倒置」「省略」は×。
(8)
効果
3点
(例)言い切らずに終えることで、静かな余情を読者の心に残す効果。(29字)「言い切らない/はっきり述べない」(1点)+「余情・余韻が残る/読者の想像にゆだねる」(2点)で採点。「かっこよく見える」「印象に残る」だけでは1点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(9)
3点
ウG「見渡せば/花も紅葉も/なかりけり/浦の苫屋の/秋の夕暮れ」、H「心なき/身にもあはれは/知られけり/鴫立つ沢の/秋の夕暮れ」。どちらも第三句の「けり」が言い切りの形なので三句切れ。句切れは「言い切りの形・終助詞・係り結び」を手がかりに探す。
(10)
3点
イ東歌・防人歌は、名の残らない庶民の歌で、家族と別れるつらさや土地のくらしが、技巧をこらさずに率直にうたわれている。『万葉集』が「天皇から庶民まで」の歌を収めた歌集であることの証拠。ア・エは万葉集を貴族・宮廷のものだけと誤解したもの。
(11)
5点
(例)読者が古い歌を思い出すことで、二つの歌の情景が重なり、味わいが深まること。(37字)「読者が本歌(昔の歌)を思い出す/重ねて読む」(2点)+「二つの歌が重なり、意味や情景が重層的になる・味わいが深まる」(3点)で採点。
「昔の歌をまねること。」のように技法の説明だけで、読者にもたらす味わいに触れていないものは0点。三十〜四十字から外れたら−1点。
(12)
選択
1点
(例)作者名=西行法師/初句のはじめの三字=心なきA〜Hのどれでもよい。作者名と初句のはじめの三字が、問題用紙の表記と合っていれば1点。歌を全部書き写しても減点しない。
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四 和歌A〜Hの読解 (つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(12)
理由
5点
(例)何も感じない自分でも心を動かされるという表現から、秋の夕暮れの深いさびしさが伝わってきたから。(47字)【ルーブリック】
5点…①選んだ歌の言葉・表現・修辞を具体的に取り上げ、②そこから自分が感じたことを述べ、③「〜から。」で理由の形に結び、④字数内。
4点…①〜③はあるが、取り上げた言葉がややあいまい。
3点…歌の内容の説明が中心で、感じたことが短い。
2点…「きれいだから」など感想だけで、歌の言葉に触れていない。
0点…選んだ歌と内容が合っていない/無記入。
※四十〜五十字から外れたら−1点。歌集名や作者の説明だけを書いたものは2点以下。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. 歌集の順は万葉(奈良)→古今(平安)→新古今(鎌倉)。『万葉集』は勅撰ではない(最初の勅撰は『古今和歌集』)。
  2. 人物と歌集の組み合わせ。大伴家持=万葉/紀貫之=古今/藤原定家・後鳥羽上皇=新古今。ここの入れちがいが最も多い失点。
  3. 枕詞は五音で決まった語を導き、訳さない。序詞は二句以上で歌ごとにちがい、訳して味わう。長さで区別する。
  4. 掛詞は「一語に二つの意味」。Fの「ながめ」=長雨/眺め、「ふる」=降る/経るのように、二通りに読めると気づくことが第一歩。
  5. 句切れは「言い切りの形(終止形)・終助詞・係り結び」で探す。G・Hはどちらも「けり」で切れる三句切れ。
  6. 体言止めは「言い切らないことで余情を残す」技法。名前だけ覚えて効果を説明できないのが典型的な失点。
  7. 本歌取りは「まねる」のではなく、読者が本歌を思い出すことで二つの歌が重なり、味わいが深まる仕組み。ここを説明させる記述は配点が高い。
  8. 東歌・防人歌は『万葉集』だけに見られる庶民の歌。「万葉集=貴族の歌集」と思いこまないこと。記述は必ず「〜こと。」「〜という気持ち。」「〜から。」の形で結ぶ。
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