「人工知能との未来」/「人間と人工知能と創造性」 模範解答
教材別リメイク版 中学3年 国語 (羽生善治/松原仁・光村図書『国語3』)
【このテストの使い方】 本文は載せていません。教科書『国語3』の「人工知能との未来」「人間と人工知能と創造性」のページを開いたまま解答します。この単元は、同じ題材(人工知能)について、立場のちがう二人の筆者が書いた二つの文章を読み比べる構成です。問題用紙では羽生善治の文章を「文章A」、松原仁の文章を「文章B」と呼んでいます。
ねらいは「どちらが正しいか」を決めることではなく、二人が何を根拠に、どの角度から論じているかを整理し、その上で自分の考えをつくることです。そのため大問四は、記述(とくに(9)(10)(11))に配点を大きく置いています。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問/読み10・書き10)1点×20=20点
二語句の知識(論説文の語彙・対義語・四字熟語・慣用句・類義語・熟語の組み立て)2点×7=14点
三文法(文の成分/文節どうしの関係/単文・重文・複文)2点×8=16点
思考・判断・表現
50点
四「人工知能との未来」「人間と人工知能と創造性」の読み比べ50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 筆者の立場(当事者か研究者か)のちがいをおさえ、それが論じ方にどう表れているかを読み取れるか。
② 人工知能の強み(膨大な局面の計算)と、人間の強み(大局観・直観・美しさの感覚)を対比して整理できるか。
③ 文章Aの筆者が人工知能を脅威としてだけでなく、思考を広げる存在としてもとらえていることを読み取れるか。
④ 文章Bの「創造とは何か」「創造性は誰が判定するのか」という問いの立て方を理解できるか。
⑤ 二つの文章の共通点と相違点を言葉にし、そこから自分の考えを字数内で表現できるか(本単元最大のねらい)。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①きょうい⑪慎重
②きし⑫疑問
③ぼうだい⑬提案
④りょういき⑭模索
⑤ゆだ(ねる)⑮冷静
⑥こくふく⑯決意
⑦かんしょう⑰挑む
⑧く(りかえす)⑱築く
⑨どうさつ⑲範囲
⑩つちか(う)⑳偏る
小計 20点
【注意したい字】 ①「驚異」は「おどろくほどすばらしい」意。同じ「きょうい」と読む「脅威」(おびやかす力)と意味が逆向きなので、文脈で区別する。②「棋士」の「棋」は木へん。「碁」と混同しない。⑤⑧⑩⑰⑱⑳は送りがなまで書けて1点。⑤「委ねる」は「ゆだねる」。「まかねる」などの誤りに注意。⑨「洞察」の「洞」はさんずい。⑩「培う」は「つちかう」。「ばいう」と音読みしない。⑪「慎重」の「慎」はりっしんべん。「真」と書かない。⑫「疑問」の「疑」は右側の形に注意。⑬「提案」の「提」はてへん。「堤」(つちへん)と書かない。⑯「決意」の「意」を「息」と書かない。⑳「偏る」は「かたよる」。「遍」(ひろく)と形が似ているので注意。
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二 語句の知識 (2点×7=14点)
番号解答解説
(1)イ「膨大」=量や数がきわめて多く、規模が大きいこと。「膨」は「ふくれる」。ア「破裂しそう」という意味はない。
(2)イ「懸念」=気がかりで、心配に思うこと。「懸念材料」「懸念を示す」の形でよく使う。ア「言い切る」は「断言」、ウは「鵜呑み」、エは「区別」の説明で、いずれも別の語。
(3)具体抽象 ⇔ 具体。「抽象的(ばくぜんとしている)」「具体的(はっきりしている)」の対で覚える。「具象」も正答とする。
(4)錯「試行錯誤」。試しては失敗し、また試して、少しずつ正解に近づくこと。「作」「策」などの誤りが多い。
(5)した(舌)「舌を巻く」=あまりのみごとさに感心して言葉が出ない。「手を巻く」「首を巻く」などは誤り。ひらがな「した」で正答。
(6)イ「予測」=これから起こることを前もって見当をつける。「推測」=手がかりからおしはかる。両方「まだ確かでないことを考える」ので類義語。エ「断定」は言い切ることなので逆。
(7)ア「創造」は「創(つくる)」+「造(つくる)」で似た意味の漢字の組み合わせ。同じ型は「思考」(思う+考える)。イ読書は「書を読む」(下が目的)、ウ高低は反対の意味、エ新型は修飾の関係。
小計 14点
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三 文の成分と文の構造 (2点×8=16点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)姉は述語「食べる」に「何が」を当てると「姉が食べる」。直前にある「母が」は、「買ってきた」の主語であって「食べる」の主語ではない。述語に近い主語が答えとは限らないのがこの問題のねらい。「姉」(「は」なし)も正答とする。
(2)修飾語「図書館で」は「読んで(おいた)」という述語の部分をくわしくしている。「どこで読んだか」を示すので修飾語。「読んで」との間が修飾・被修飾の関係である。「連用修飾語」も正答。
(3)接続語「しかし」は前の内容と後の内容をつなぐだけで、主語・述語・修飾語のどれにもならない独立した成分。「接続部」も正答。
(4)独立語「ああ」は感動を表し、他の文節と直接の結びつきをもたない。感動・呼びかけ・応答・提示は独立語。「独立部」も正答。接続語との混同が最も多い。
(5)並立の関係/連文節(主部)「兄の絵と」「妹の詩は」は対等に並んでいるので並立の関係。対等に並んだ文節がひとまとまりで一つの成分になったものを連文節といい、ここでは主語の働きをしているので主部とも呼ぶ。両方書けて2点(片方だけは0点)。「連文節」「主部」のどちらかが書けていれば後半は正答。
(6)補助の関係「おいた」は本来の意味が薄れ、「読んで」に意味をそえているだけ。「〜て+いる/ある/おく/みる/しまう」の形は補助の関係。並立の関係と答える誤りが多いが、並立は「入れかえても意味が通る」のが目印で、「おいた 読んで」は通らない。
(7)C=重文/D=複文Cは「兄は指し」と「弟は打つ」という対等な主述の組が二つ並ぶので重文。Dは「技術が広まれば」が条件を表す従属部になって「仕組みは変わる」にかかるので主従の関係=複文。C・D完答で2点。
(8)単文主語「職人が」、述語「探している」が一組だけ。「新しい」「ねばり強く」はどれも修飾語にすぎないので、文の数はふえない。文が長い=複文、ではないことに注意。
小計 16点 / 知識・技能 合計 50点
【文の構造を見分ける三ステップ】 ① 述語をすべてさがす。② それぞれの述語に対応する主語を当てる(「何が」を入れてみる)。③ 主述の組が一組=単文/二組以上が対等=重文/二組以上で一方が他方の一部になっている=複文。「〜ば」「〜ので」「〜とき」「〜が(主語)…する+名詞」の形が出てきたら、ほぼ複文を疑う。
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四 「人工知能との未来」/「人間と人工知能と創造性」の読み比べ (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
3点
イ文章Aの筆者は将棋の棋士であり、人工知能(将棋ソフト)と実際に対局し、共存してきた当事者として書いている。ここが文章Bとの最大のちがいなので、最初におさえる。
(2)
4点
ウ人工知能の強みは膨大な局面を高速に計算できること。そのため、人間が「ありえない」と考えて検討もしない手まで調べ、結果として人間が見落とす手を指すようになった。ア「意志」・イ「美しさを感じる」は人間側の性質。
(3)
4点
(例)盤面全体の形勢をつかみ、考える必要のない手を直観的に切り捨てて、検討すべき手を少なくしぼりこむこと。「全体を見わたす/形勢をつかむ」(2点)+「無駄な手を切り捨て、候補をしぼる」(2点)の二点で採点。「美しい手を選ぶ」だけでも、それが選択肢をしぼる働きだと書けていれば2点。「よく考える」「強くなる」など、しぼりこみに触れていないものは0点。「〜こと。」で結んでいないものは−1点。
(4)
4点
イ人工知能は恐怖もためらいもなく計算結果どおりに指すが、人間の指し手には不安・迷い・勝負への気持ちといった心理が影響する。ア「人間はまちがえない」、エ「人間は勝敗を気にしない」は明らかな誤り。
(5)
4点
(例)人工知能の指し手が、人間だけでは気づけなかった考え方や可能性を示し、人間の思考の幅を広げてくれるため。「人間が気づかなかった手・考え方を示す」(2点)+「人間の思考・可能性が広がる」(2点)の二点で採点。「便利だから」「勝てるから」だけは0点。脅威であることを否定しただけの答え(「こわくないから」)も0点。「〜ため。」で結んでいないものは−1点。
(6)
3点
イ文章Bの筆者は人工知能の研究者。だからこそ「創造性」という概念そのものを定義し直す形で論を進める。
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四 「人工知能との未来」/「人間と人工知能と創造性」の読み比べ (つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(7)
4点
イ文章Bの中心の問いは「人工知能は小説や絵のような作品を生み出せるのか」、そしてそのために「そもそも創造とは何か」である。「創造とは、既存のものの新しい組み合わせにすぎないのではないか」という見方が示される点が重要。
(8)
4点
(例)作り手の側ではなく、その作品を受け取る人間が創造的だと評価するかどうかによって決まるということ。「受け取る側・読む側・見る側の人間」(2点)+「その人がどう評価・判断するかで決まる」(2点)の二点で採点。「人工知能にも創造性がある」「ない」と結論だけ書いたものは0点。評価の主体が人間であることに触れていなければ得点しない。「〜こと。」で結んでいないものは−1点。
(9)
6点
(例)共通点…どちらも人工知能を一方的に恐れたり否定したりせず、人工知能の登場をきっかけに人間の役割や能力を問い直している点。
相違点…文章Aは棋士として、人間の直観と人工知能の計算をどう関わらせるかを自分の対局経験から語っているが、文章Bは研究者として、「創造とは何か」「創造性を誰が評価するか」という概念そのものを分析している点。
共通点3点…「人工知能を一方的に恐れていない」(1点)+「人間の役割・能力を問い直している」(2点)。
相違点3点…「筆者の立場のちがい(A=棋士・当事者/B=研究者)」(1点)+「論じる焦点のちがい(A=人間の感覚や直観と人工知能の計算をどう関わらせるか/B=創造とは何か、誰が評価するか)」(2点)。
片方しか書いていないものは、その分の得点のみ。「Aは将棋の話、Bは小説の話」という題材のちがいだけの答えは相違点1点。立場(肩書き)だけを書いたものも1点止まりで、論じ方・焦点のちがいまで書けて満点。
(10)
5点
(例)人工知能を恐れるだけでなく、人間の役割や創造の意味を問い直す視点をもてるようになった。(43字)ルーブリック A(5点)=読む前の考えと読んだ後の考えの変化が書かれ、かつ二つの文章の両方をふまえている。B(3点)=変化は書けているが、一方の文章の内容にしか触れていない。C(1点)=感想(「おどろいた」「すごいと思った」)だけで、考えの深まりが書かれていない。D(0点)=無解答、または二つの文章と関係のない内容。
字数…40字未満または50字超は−1点。
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四 「人工知能との未来」/「人間と人工知能と創造性」の読み比べ (つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(11)
6点
(例)人工知能の計算力を道具として活用しながら、何を価値あるものとするかという判断は人間が手放さず、両者の得意な面を補い合う関係を築いていくべきだと考える。(75字)ルーブリック A(6点)=①自分の立場が明確、②二つの文章の内容を根拠として使っている、③人間の側が担うべき役割にまで触れている、の三つがそろう。B(4点)=①②はあるが③が弱い。C(2点)=立場は書けているが、根拠が文章と結びついていない。D(0点)=無解答、または「便利だからどんどん使えばよい」「危ないから使わないほうがよい」など断定のみで理由がないもの。
字数…60字未満または80字超は−1点。
※結論は「活用すべき」「慎重であるべき」どちらでもよい。根拠の質で採点する。
(12)
3点
ア・ウア…読み比べでは、筆者の立場と根拠を整理する。ウ…共通点と相違点を分けて整理し、そこから自分の考えをつくる((9)(10)(11)につながる)。
イ…文章の長さと内容の正しさは無関係なので×。エ…合わない意見こそ内容を確かめて読むべきなので×。オ…正しさを読む前に決めておくと、公平な比較にならないので×。ア・ウの二つそろって3点(完答)。一つでも欠けたり、イ・エ・オを含めたら0点。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. 二人の立場を混ぜない。文章A=棋士(当事者)、文章B=研究者。「誰が、どこから語っているか」を最初にメモしておく。
  2. 人工知能の強みは「かしこさ」ではなく膨大な局面を計算できること。答案で「頭がいいから」と書くと得点できない。
  3. 人間の「大局観」「美しい手」は、ただの感覚ではなく考える手を減らす(無駄を切り捨てる)働きをしている。ここを機能として説明できるかが分かれ目。
  4. 人工知能と人間のちがいは「計算の速さ」より恐怖・ためらいという心理があるかないか。文章Aの核心。
  5. 文章Aは人工知能否定論ではない。「脅威」と「思考を広げる存在」の両面でとらえていることを読み落としやすい。
  6. 文章Bの論の運びは「人工知能は創造できるか」→「そもそも創造とは何か」と問いが問い直される構造。結論を急いで探すと迷子になる。
  7. 文章Bの要点は「創造性があるかどうかを決めるのは受け取る人間」という点。「人工知能に創造性はある/ない」と断定して書くと0点になる。
  8. 読み比べの記述では、共通点と相違点の両方を必ず書く。相違点は「題材のちがい」ではなく「語る立場・論じ方のちがい」で述べること。
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