中学3年 国語科 教材別テスト⑨ 「故郷」 模範解答・解説
教材別リメイク版 中学3年 国語 / 「故郷」(魯迅・竹内好訳)・光村図書『国語3』
【このテストの使い方】 本文は載せていません。教科書『国語3』の「故郷」のページを開いたまま解答します。この作品は、二十年ぶりに故郷へ帰った「私」が家を引き払うまでを一人称の回想で語る小説です。情景描写と心情の照応、記憶と現実の落差、人と人を隔てるもの、そして最後の希望をめぐる思索の四つが読みの柱になります。記述問題を多めにして、「気持ち」「意味」を自分の言葉でまとめる力をみます。
配点一覧
観点大問内容配点
知識・技能
50点
一漢字の読み書き(20問)1点×20=20点
二語句の知識(語彙・対義語・類義語・四字熟語・慣用句・熟語の組み立て)2点×7=14点
三文法(助詞・助動詞の識別)1点×16=16点
思考・判断・表現
50点
四「故郷」の読解(12問)50点
合計100点
【出題のねらい】 ① 「れる・られる」「ようだ」「そうだ」「ない」など、形が同じで働きのちがう語を見分けられるか。
② 冒頭の荒涼とした冬の風景が、「私」の心情と重ねられていることに気づけるか(情景描写と心情の照応)。
③ 記憶の中の故郷・少年のルントウと、目の前の故郷・再会したルントウとの落差をとらえられるか。
④ 二人の間にできた「厚い壁」が、身分や境遇の差によるものだと説明できるか。
⑤ 最後の「希望」をめぐる思索(疑いから、歩く人が道をつくるという考えへ)を自分の言葉で書けるか。
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一 漢字の読み書き (1点×20=20点)
番号解答番号解答
①こうりょう⑪残酷
②ふんいき⑫犠牲
③きょうぐう⑬感傷
④けんきょ⑭実感
⑤へだ(てる)⑮努力
⑥おとろ(えた)⑯距離
⑦そえん⑰習慣
⑧ひんこん⑱将来
⑨した(う)⑲乏しい
⑩なごり⑳懐かしい
小計 20点
【注意したい字】 ①「荒涼」の「涼」はさんずい。にすいの「凉」や、「亮」と書かないこと。②「雰囲気」は「ふいんき」と書く・読む誤りが非常に多い。ふ・ん・い・き。④「謙虚」の「謙」はごんべん。「嫌」「兼」と混同しない。⑤「隔てる」⑥「衰えた」⑨「慕う」は送りがなまで必要(「隔る」「衰た」は×)。⑩「名残」は熟字訓で「なごり」。「めいざん」は×。⑯「距離」はどちらも画数が多い。「距」は「巨」、「離」の右側は「隹」。⑲「乏しい」は「とぼしい」。「乏」を「之」と書かない。送りがなは「しい」まで書く。⑳「懐かしい」の「懐」はりっしんべん。送りがな「かしい」まで書く。
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二 語句の知識 (2点×7=14点)
番号解答解説
(1)ア「荒涼」=荒れ果てて、もの寂しい様子。冒頭の冬の故郷の描写を言い表すのにぴったりの語で、この作品を読むときのキーワード。
(2)ア「よそよそしい」=親しいはずの相手に対して、他人のように距離をとる態度。再会したルントウのふるまいを説明する語。イ「なれなれしい」はほぼ反対の意味。
(3)絶望希望 ⇔ 絶望。「失望」は「期待が外れてがっかりする」意味なので、対義語としては「絶望」が最も適切。
(4)イ「境遇」=その人の置かれている立場・暮らしのありさま。「身の上」が最も近い。ア「境界」は区切り、ウ「境地」は心の状態。
(5)無量「感慨無量」=しみじみと感じ入る思いが限りないこと。「感無量」とも言う。「無料」と書く誤りに注意。
(6)腹「腹を割って話す」=本心を隠さず打ち明ける。「胸」「腹」「肝」など体の部分を使った慣用句はまとめて覚える。
(7)イ「貧困」=「貧しい」と「困る」で似た意味の組み合わせ。同じ型は「困難」。ア「高低」は反対の意味、ウ「読書」は「書を読む」で目的、エ「寒風」は修飾の関係。
小計 14点
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三 助詞・助動詞の識別 (1点×16=16点)
番号──線部解答解説(見分け方)
(1)呼ばれるア 受け身「友人に」と動作をする相手が示されている。「〜によって〜される」と言いかえられれば受け身。
(2)食べられるイ 可能「〜することができる」と言いかえられる。
(3)思い出されるウ 自発「自然に」「ひとりでに」を補えて意味が通る。「思い出される」「感じられる」「しのばれる」など、心の働きを表す語に多い。
(4)出られるエ 尊敬主語が敬うべき人(校長先生)。「お〜になる」と言いかえられる。
(5)ようだア 推定根拠(空が暗い)から判断している。「どうやら」を補える。
(6)ようだイ 比喩文中に「まるで」があり、水面を鏡にたとえている。「AはBのようだ」というたとえの形。
(7)そうだア 様態動詞の連用形(降り)に付く。「今にも」「いかにも」を補える。
(8)そうだイ 伝聞動詞の終止形(帰る)に付く。「〜という話だ」と言いかえられる。接続する形で見分けるのが確実。
(9)ないア 打ち消しの助動詞「書かぬ」と言いかえられる。活用語の未然形に付く。
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三 助詞・助動詞の識別 (つづき)
番号──線部解答解説(見分け方)
(10)ないイ 形容詞「何もない」=「存在しない」という意味を、この語だけで表している。「ある」の反対で、一語で述語になれる。「ぬ」に置きかえられない(「何もぬ」とは言えない)のが決め手。
(11)ないウ 補助形容詞「おもしろく」+「ない」。直前が形容詞の連用形で、間に「は」を入れられる(おもしろくはない)のが決め手。
(12)でウ 手段・道具「小刀を使って」と言いかえられる。
(13)でエ 原因・理由「大雨のせいで」と言いかえられる。同じ「で」でも意味が変わる。
(14)のカ 主語を表す「私が生まれた村」と「が」に置きかえられる。置きかえられれば主語を表す「の」。
(15)のでイ 接続助詞前後の文(節)を原因・理由の関係でつないでいる。「から」「のに」「ても」なども接続助詞。
(16)なエ 終助詞文末にあって、話し手の気持ち(願い・感動)を添えている。「よ」「ね」「か」「ぞ」も終助詞。
小計 16点 / 知識・技能 合計 50点
【識別のコツ】 ① 「そうだ」は接続する形で決まる(連用形=様態/終止形=伝聞)。② 「ようだ」は「まるで」が入るかで決まる(入れば比喩/入らなければ推定)。③ 「ない」は「ぬ」に置きかえられるか(置きかえられれば助動詞)、だめなら「は」を入れられるか(入れば補助形容詞)、どちらも違えば形容詞。④ 「の」は「が」に置きかえられるかで主語の「の」を見分ける。
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四 「故郷」の読解 (50点)
番号解答解説・採点のポイント
(1)
4点
ア二十年ぶりの帰郷で、家を引き払う(人手に渡す)ための旅であることが設定の土台。語り手は「私」自身で、一人称の回想。イの「すべての人物の心の中を説明する」三人称、ウ「ルントウが語り手」、エ「作者の解説」はいずれも誤り。
(2)
3点
イ一人称では、見えたものがすべて「私」のフィルターを通る。だから景色の描写がそのまま心情の描写になる。ア「全員の心の中」は三人称全知の語り方。
(3)
4点
(例)荒涼とした風景に、私の寂しく沈んだ心情を重ねて表すため。(28字)「風景(情景)」(1点)+「寂しい・沈んだ・わびしいなどの心情」(2点)+「重ねる・照応させる・暗示する」(1点)で採点。
「冬だと知らせるため」「季節を説明するため」のように説明のためだけとしたものは0点。「〜ため。」の形で結んでいないものは−1点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(4)
4点
ウ「私」は寂れた故郷に落胆する一方で、自分の記憶が美化されていたのではないかとも疑う。このゆれが重要。ア・イは事実と反する。エは故郷への思いを否定しており誤り。
(5)
3点
イ少年のルントウは、海辺や畑の知識が豊かで、「私」にとって外の世界を見せてくれる輝かしい存在だった。この記憶が明るいからこそ、再会の落差が重くなる。
(6)
4点
ウやせ衰えた体や、荒れてかたくなった手は長年の労働と貧しさの跡。昔の明るさやのびやかさを失い、昔のように対等にふるまえなくなった姿が表れる。アの「自然のなりゆき」では、貧困という社会的な原因が落ちるので誤り。
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四 「故郷」の読解 (つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(7)
4点
(例)思いがけない呼び方に衝撃を受け、二人の隔たりを悲しく思う気持ち。(32字)「衝撃・動揺・ショックを受ける」(1点)+「悲しい・寂しい・やりきれない」(2点)+「隔たり・距離・壁を感じる」(1点)で採点。
「腹が立つ」「見下されたと怒る」は0点(「私」は怒っていない)。「うれしい」「なつかしいだけ」も0点。「〜という気持ち。」で結んでいないものは−1点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(8)
5点
(例)身分や暮らしの差が、心を通わせることを妨げ、二人を深く隔てていること。(35字)「身分・境遇・暮らし(経済)の差」(3点)+「心が通わなくなる/隔てられる」(2点)で採点。
本当の壁があると考えた具体物としての説明(例「家の壁が厚い」)は0点。「久しぶりだから照れている」など一時的な気まずさにとどめたものは2点まで。「〜こと。」で結んでいないものは−1点。三十〜四十字から外れたら−1点。
(9)
3点
イヤンおばさんの行動は、個人の悪さの話ではなく、貧しさが人の心をすり減らし、人間関係まで荒れさせていくことを示す場面。ルントウの変化と同じ根をもつ。
(10)
4点
(例)若い世代に、自分たちが経験しなかった新しい生活への希望を託すこと。(33字)「若い世代・子どもたち」(1点)+「自分たちが経験しなかった新しい生活」(2点)+「希望を託す」(1点)で採点。
「二人が仲よくなって楽しそうだ」のように場面をなぞっただけのものは0点。かつての「私」とルントウの関係が、次の世代でくり返されるのか/変えられるのかという問いを含む場面であることをおさえる。「〜こと。」で結んでいないものは−1点。二十五〜三十五字から外れたら−1点。
(11)
6点
(例)希望も偶像にすぎないと疑いながらも、人が歩けば道は生まれると考え直した。(36字)この教材最大の読みどころ。①希望は自分の手で作った偶像ではないかという疑い(3点)+②それでも、歩く人がふえればそこに道ができるという結論(3点)の二点で採点。
どちらか一方だけなら3点。「希望をなくしてあきらめた」は0点(疑いで終わっていない)。「必ず希望はかなうと確信した」も0点(疑いをくぐった上での考え直しであることが大事)。三十〜四十字から外れたら−1点。
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四 「故郷」の読解 (つづき)
番号解答解説・採点のポイント
(12)
6点
(例)希望とは、ただ願うだけのものではなく、多くの人が行動を重ねることで初めて現実になるものだと考える。(49字)【ルーブリック】
 A(6点)…「希望」についての自分の考えが明確で、作品の思索(偶像への疑い/歩く人が道をつくる)とつながっており、四十〜五十字におさまっている。
 B(4点)…自分の考えは書けているが、作品とのつながりが弱い、または字数を1〜5字外れている。
 C(2点)…感想(例「希望は大切だと思った」)にとどまり、理由や内容の説明がない。
 D(0点)…無解答、作品と無関係、または本文の言いかえだけで自分の考えがない。
※字数を6字以上外れた場合はさらに−1点。
思考・判断・表現 合計 50点 / 総合 100点
【この教材で落としやすいポイント(8つ)】
  1. この作品は一人称の回想。見えている景色はすべて「私」の心を通した景色で、情景描写=心情描写になっている。
  2. 冒頭の荒涼とした冬の風景は、季節の説明ではなく「私」の沈んだ心の前置き。ここを説明文として読むと(3)を落とす。
  3. 故郷の落差を、「私」は現実への落胆と記憶の美化への疑いの両面で受けとめている。片方だけでは不十分。
  4. 少年のルントウは明るく物知りで、外の世界を見せてくれた存在。この輝きを押さえないと、再会の場面の重さが出ない。
  5. ルントウの変化の原因は貧しさと苦労という境遇。「年をとったから」では読みが浅い。
  6. 「厚い壁」は身分・境遇の差が心を隔てることのたとえ。「私」は怒っているのではなく、悲しんでいる。
  7. ヤンおばさんの場面は、貧困による人心の荒廃を示す。個人の人格の問題として読まないこと。
  8. 最後の「希望」は、疑いをくぐった上での結論。「偶像ではないか」という疑いと「歩く人が道をつくる」という考え直しを両方書くのが(11)の必須条件。
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