相談
テスト前になると、子どもは教科書やノートを、一生懸命読み返しています。大事なところには線も引いています。読み直すのは、いい勉強法ではないのですか?
塾長の聞き返し
お母さんは、「勉強」というと、どんな姿を思い浮かべますか? 読み返す、書き写す、ノートにまとめる。そういう姿ではないでしょうか。
……そうですね。机に向かって、手を動かしているのが、勉強だと思っていました。
塾長の答え
1. 半分以上の人は、「何周もやること」が勉強だと思っています
お母さんが、そう思うのは、自然なことです。半分以上の人が、ただ読み返す、ただ書き写す、ノートにまとめる、問題集を何周もやる。それが勉強だと思っています。 学校でも、先生が黒板に書いたことを写す、ということを、ずっとやってきたからです。
ですから、私が「それでは覚えにくいですよ」とお伝えしても、すぐには実感できないと思います。 それで、構いません。
2. 線を引いても、覚えられません
一生懸命、大事なところに線を引いて、何回も、その線を見る。子どもは、がんばっています。でも、線を引いても、それだけでは意味がありません。
意味があるのは、その先です。線を引いたところを、赤シートで隠して、言えるかどうかテストする。 それを、繰り返す。そこに意味があります。第13問で書いた、「思い出す」という作業です。
3. 読み直しが無駄な場面ばかり、ではありません
誤解してほしくないのですが、読み直すことが、全部いけないわけではありません。 大事なのは、いまが「理解する段階」なのか、「暗記する段階」なのか、です。
まず、理解できなければ、始まりません。国語なら、どういう話なのか、何回か読み直すことに意味があります。数学も、問題の意味を、読み直して確かめることに意味があります。
でも、「なるほど、わかった」となったら、次は見ずに、それを全部、再現できるかどうか。 見ずに再現できれば、記憶に残っていきます。読み直しは、「わかる」ところまで。そのあとは、「隠して、思い出す」に、切り替えます。
4. ことばこのプリントは、読み直しをさせない設計です
ことばこでは、読み直しをさせるのではなく、繰り返しテストができるように、勉強の仕方を設計しています。 リトリーバル学習を根底に置いて、プリントとテストをつくっています。
ですから、順番にプリントをこなしていけば、自然とリトリーバル学習になるようにしてあります。もちろん、子ども自身が意識してやれば、さらに効果は高まります。
5. 家では、声かけより、一緒にやることです
では、家で、お母さんが何を言えばいいのか。私の答えは、「声かけ」ではありません。 お母さん自身が、リトリーバル学習を理解して、実感して、一緒にやってあげることが、いちばん大事だと思います。
「やっとけよ」と言っても、子どもは、やりません。言葉だけでは、動かないのです。
でも、うちの子は、一緒にやるのをいやがります。
そうですね。一緒にやるといっても、お母さんと一緒にやりたいかどうかは、子どもの年齢によります。 お母さんが、怒らずにできるかにも、よります。親子の仲がいいかどうかにも、よります。つまり、関係性しだいです。
そして、ここがポイントです。関係性がよくないときは、何を言っても、逆効果になりやすいのです。声をかけるほど、お子さんは離れていきます。そういうときは、無理に勉強に口を出さなくて構いません。まず、関係をよくすることのほうが、先です。勉強のやり方は、塾に任せてもらっても、いいのです。
最後に
今日からできることは、三つです。
- 線を引いたら、赤シートで隠して、言えるかテストする(読み直しは、「わかる」ところまで)
- 「やっときなさい」の代わりに、お母さん自身が、一度やってみる
- 関係がよくないときは、勉強に口を出さず、まず関係を整える
勉強ができること以上に大事なのは、「自分には、課題を乗り越えていける力がある」という自信です。アドラー心理学では、この力を支えることを「勇気づけ」と呼びます。口を出す前に、関係を整える。それも、子どもを勇気づける、大事な一歩です。
塾長コラム ─ 学習塾ことばこ 塾長(国語科教員10年・学習塾個別指導12年)