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暗記は「言える」から「書ける」へ。具体的にどうやるのですか?|塾長コラム 第14問

相談

漢字や英単語を、家で何度も練習させています。でも、いざテストになると書けません。「覚えた」と言うのですが、書かせてみるとできないのです。「言える」ようになってから、「書ける」ようになるには、どうしたらいいのでしょうか。

塾長の聞き返し

お子さんは、その漢字や単語を、見ないで「言える」状態ですか? それとも、手本を見ながら書き写して、「覚えたつもり」になっていませんか?

……言わせてみたことは、ないかもしれません。

塾長の答え

1. 「言える」けれど「書けない」子は、ほとんどいません

最初に、はっきり言います。「言えるけれど、書けない」という子は、ほぼいません。 そもそも、「言えない」のです。

覚えるとは、自分の頭の中から、思い出せる状態になることです。言えるというのは、その状態です。そこまで進んでいれば、多くの場合、書くことも、そこまで難しくありません。

ですから、順番は、まず「言える」。そのあとで、書けないものだけ、「書く」練習をするのです。第13問で書いた、「書き写すのではなく、思い出す」という話の、続きにあたります。

2. 全部は書かせません。書けないものだけ

ことばこでは、覚えたものを、全部書かせることはしません。書けない漢字、書けない英単語だけ、書く練習をします。

やり方は、こうです。

  1. まず、手本を見て、書き写す。(1回)
  2. 次に、手本を隠して、見ずに書いてみる。(1問)
  3. 見ずに書けたら、3問ぶん集めて、3つ続けて、見ずに書く。
  4. それができたら、全部(10問ぐらい)を、まとめてテストする。

つまり、1問 → 3問 → 10問と、少しずつ、まとめていきます。

3. 一発で覚えられない漢字は、分ける

漢字が、一度で覚えられないときは、「へん」と「つくり」に分けます。 まず、へんだけを覚える。次に、つくりだけを覚える。それぞれ覚えられたら、1文字ぜんぶ、見ずに書けるかを試します。

そして、これも同じように、3文字ずつ、見ずに書く。それができたら、10文字ぜんぶをテストする。 途中の「3つ」が、ちょうど階段の、一段になります。

英語、漢字、社会の用語。教科が違っても、進め方は同じです。まず「言える」が先。 そのあとで、書けないところだけを、書く練習で埋めます。

4. 書けるまで、進めなくていいもの

すべてを、「書ける」まで進める必要は、ありません。

漢字や英語のスペルは、書けるようにする必要があります。 練習も必要です。でも、用語の説明や、考え方のような内容まで、書き写して覚える必要は、ありません。そうしたものは、言えれば十分です。

5. 家では、一緒に練習してあげてください

ご家庭では、どこまで見てあげればいいのか。私の答えは、シンプルです。一緒に、覚える練習をしてあげてください。

たとえば、「この漢字10個、一緒にやろう」と言います。やり方は、ことばこと同じです。

  1. 1文字だけ、きれいに書き写す。
  2. 隠して、同じものを、1問だけ書いてもらう。(1問なら、すぐにできます)
  3. 1問できたら、3問やる。
  4. 3問できたら、次の3問。 さらに、次の3問。
  5. 最後に、合計9問でテストをして、終わり。

これで、ひとつの「くくり」です。

でも、うちの子は、いつも一気に10個も20個も、やろうとして、疲れてしまうんです。

そこが、いちばん大事なところです。1個なら、誰でも覚えられます。3個なら、覚えられます。 それなら、3個覚えればいいのです。3個覚えられたら、次の3個。それを重ねていけば、すぐに1ページぶんぐらい、覚えられます。 1ページ覚えられたら、次の1ページ。それだけです。

多くの子は、やり方を知らないまま、一気に全部やろうとして、進まなくなります。 方法やコツを、誰からも教わっていないからです。やり方を知れば、進み方は、めちゃくちゃ早いです。

そして、これは、どんな子でもできます。 特別な才能は、いりません。ただ、小さく区切って、やるだけです。それを、積み重ねるだけです。

最後に

今日からできることは、三つです。

  1. 「覚えた?」の代わりに、「言ってみて」と聞く
  2. 書けない漢字・単語だけ、「書き写す→隠して1問→3問→全部」と進める
  3. 一気にやらず、3個ずつの小さな「くくり」にする

勉強ができること以上に大事なのは、「自分には、課題を乗り越えていける力がある」という自信です。アドラー心理学では、この力を支えることを「勇気づけ」と呼びます。「1個なら、できた」「3個、できた」。その小さな積み重ねが、「自分にもできる」という実感になります。

塾長コラム ─ 学習塾ことばこ 塾長(国語科教員10年・学習塾個別指導12年)

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