相談
漢字や英単語を、家で何度も練習させています。でも、いざテストになると書けません。「覚えた」と言うのですが、書かせてみるとできないのです。「言える」ようになってから、「書ける」ようになるには、どうしたらいいのでしょうか。
塾長の聞き返し
お子さんは、その漢字や単語を、見ないで「言える」状態ですか? それとも、手本を見ながら書き写して、「覚えたつもり」になっていませんか?
……言わせてみたことは、ないかもしれません。
塾長の答え
1. 「言える」けれど「書けない」子は、ほとんどいません
最初に、はっきり言います。「言えるけれど、書けない」という子は、ほぼいません。 そもそも、「言えない」のです。
覚えるとは、自分の頭の中から、思い出せる状態になることです。言えるというのは、その状態です。そこまで進んでいれば、多くの場合、書くことも、そこまで難しくありません。
ですから、順番は、まず「言える」。そのあとで、書けないものだけ、「書く」練習をするのです。第13問で書いた、「書き写すのではなく、思い出す」という話の、続きにあたります。
2. 全部は書かせません。書けないものだけ
ことばこでは、覚えたものを、全部書かせることはしません。書けない漢字、書けない英単語だけ、書く練習をします。
やり方は、こうです。
- まず、手本を見て、書き写す。(1回)
- 次に、手本を隠して、見ずに書いてみる。(1問)
- 見ずに書けたら、3問ぶん集めて、3つ続けて、見ずに書く。
- それができたら、全部(10問ぐらい)を、まとめてテストする。
つまり、1問 → 3問 → 10問と、少しずつ、まとめていきます。
3. 一発で覚えられない漢字は、分ける
漢字が、一度で覚えられないときは、「へん」と「つくり」に分けます。 まず、へんだけを覚える。次に、つくりだけを覚える。それぞれ覚えられたら、1文字ぜんぶ、見ずに書けるかを試します。
そして、これも同じように、3文字ずつ、見ずに書く。それができたら、10文字ぜんぶをテストする。 途中の「3つ」が、ちょうど階段の、一段になります。
英語、漢字、社会の用語。教科が違っても、進め方は同じです。まず「言える」が先。 そのあとで、書けないところだけを、書く練習で埋めます。
4. 書けるまで、進めなくていいもの
すべてを、「書ける」まで進める必要は、ありません。
漢字や英語のスペルは、書けるようにする必要があります。 練習も必要です。でも、用語の説明や、考え方のような内容まで、書き写して覚える必要は、ありません。そうしたものは、言えれば十分です。
5. 家では、一緒に練習してあげてください
ご家庭では、どこまで見てあげればいいのか。私の答えは、シンプルです。一緒に、覚える練習をしてあげてください。
たとえば、「この漢字10個、一緒にやろう」と言います。やり方は、ことばこと同じです。
- 1文字だけ、きれいに書き写す。
- 隠して、同じものを、1問だけ書いてもらう。(1問なら、すぐにできます)
- 1問できたら、3問やる。
- 3問できたら、次の3問。 さらに、次の3問。
- 最後に、合計9問でテストをして、終わり。
これで、ひとつの「くくり」です。
でも、うちの子は、いつも一気に10個も20個も、やろうとして、疲れてしまうんです。
そこが、いちばん大事なところです。1個なら、誰でも覚えられます。3個なら、覚えられます。 それなら、3個覚えればいいのです。3個覚えられたら、次の3個。それを重ねていけば、すぐに1ページぶんぐらい、覚えられます。 1ページ覚えられたら、次の1ページ。それだけです。
多くの子は、やり方を知らないまま、一気に全部やろうとして、進まなくなります。 方法やコツを、誰からも教わっていないからです。やり方を知れば、進み方は、めちゃくちゃ早いです。
そして、これは、どんな子でもできます。 特別な才能は、いりません。ただ、小さく区切って、やるだけです。それを、積み重ねるだけです。
最後に
今日からできることは、三つです。
- 「覚えた?」の代わりに、「言ってみて」と聞く
- 書けない漢字・単語だけ、「書き写す→隠して1問→3問→全部」と進める
- 一気にやらず、3個ずつの小さな「くくり」にする
勉強ができること以上に大事なのは、「自分には、課題を乗り越えていける力がある」という自信です。アドラー心理学では、この力を支えることを「勇気づけ」と呼びます。「1個なら、できた」「3個、できた」。その小さな積み重ねが、「自分にもできる」という実感になります。
塾長コラム ─ 学習塾ことばこ 塾長(国語科教員10年・学習塾個別指導12年)