相談
怒らない子育てに切り替えて、2週間ほどになります。息子(中学1年生)は、前より穏やかになった気はするのですが、勉強は、むしろやらなくなりました。子どもは、本当に変わるのでしょうか? このまま続けて、大丈夫なのでしょうか?
塾長の聞き返し
息子さんは、お母さんが怒らなくなったことに、気づいていますか? そして、怒らないとき、お母さんの心の中は、どんな感じですか?
気づいていると思います。「どうしたの?」と言われました。心の中は、正直、まだイライラしていて、我慢している感じです。
塾長の答え
1. 子どもは、最初、疑います
最初に起きる変化は、疑われることです。
子どもは、急に怒らなくなった親を、すぐには信じません。表面だけ怒らないふりをして、心の中では怒っている。そういうパターンが、とても多いからです。子どもは、それを敏感に感じ取ります。「どうしたの?」と言われるのは、自然な反応です。
大事なのは、怒っているのを、我慢して見せないことではありません。
怒りの感情そのものは、誰にでもあります。やめたいのは、「怒る」という手段です。怒るとは、自分の感情を相手にぶつけて、相手をコントロールしようとする手段のことです。この手段を、選ばなくなる。感情を抑え込むのではなく、「感情で相手を動かす」という選択肢を、取らなくなる。それが、怒るのをやめる、ということです。
心の中で怒りながら、表面だけ穏やかにしても、子どもには、伝わります。
2. 態度は、すぐ変わります
感情でコントロールするという手段を、本当に取らなくなったとき。子どもは、それに反応して、変わります。
- 急に、反抗的な態度を見せなくなる
- 子ども自身も、怒らなくなる
- 急に、話しかけてくる
- 今まで、ブロックがかかっていたことを、やろうとする
こういうことは、多々あります。態度は、すぐに変わります。 親が、子どもを尊重し、その子なりの成長を信じて、コントロールしようとするのをやめると、子どもは、それを感じ取るのです。
3. でも、勉強は、そう簡単には変わりません
ただし、勉強は、別です。
勉強については、怒るか怒らないかで、あまり変わりません。なぜなら、勉強は、スキルの問題だからです。
- どうやって進めればいいか、わからない
- 進め方の仕組みがない
- 自己管理の力が、まだ足りない
こうした状態では、親が怒っても、怒らなくても、できるようにはなりません。導くスキルがあるかどうか。そこが、決め手です。
逆に言えば、適切な指導を受ければ、できるようになります。ことばこのような場所で、できることから、順番にやっていけば、変わります。
怒らなくなったら、勉強は、むしろやらなくなりました。
そう見える時期は、あります。理由は、シンプルです。これまでは、怒って、無理やり、やらせていたからです。怒るという手段がなくなれば、その分、やらなくなります。勉強に関しては、悪くなったように見えます。
これは、「怒らないやり方が、間違っている」ということではありません。怒ってやらせていた分が、見えるようになった、ということです。
怒ってやらせても、先はありません。怒られて動くことを繰り返すと、子どもは、自分で考えて動く前に、親の顔色を見るようになります。成績が上がったとしても、「自分には、課題を乗り越えていける力がある」という自信は、育ちません。なぜ怒ってはいけないのかは、第1問と第2問に書きましたので、そちらを読んでください。
4. 怒らなくなった、その先に
怒るという手段をやめたら、次にやることは、二つです。
- 導くスキルを、手に入れる。自分で身につけるか、人に任せるか(第4問)
- お子さんのペースで、成長するのを、信じて待つ(第10問、第11問)
態度が変わり、関係が変わり、そこに、勉強の仕組みが乗ったとき、子どもは、本当に変わり始めます。
最後に
今日からできることは、三つです。
- 怒りを我慢して隠すのではなく、「怒って動かす」という手段を、選ばない
- 態度の変化を、勉強の成績より先に、見る
- 勉強は、導くスキルの問題と考えて、仕組みや人の力を借りる
勉強ができること以上に大事なのは、「自分には、課題を乗り越えていける力がある」という自信です。アドラー心理学では、この力を支えることを「勇気づけ」と呼びます。
怒らなくなって、最初に変わるのは、お子さんの態度です。そして、その態度の変化は、親が、「この子の成長を信じている」と、本当に思えたときに、起こります。
塾長コラム ─ 学習塾ことばこ 塾長(国語科教員10年・学習塾個別指導12年)