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「やる気が出るまで待つ」は、放置とどう違いますか?|塾長コラム 第10問

相談

「やる気は、本人が出るまで待ちなさい」と言われました。でも、小学6年生の息子は、「やる気が出たらやる」と言いながら、毎日ゲームをしています。待っていて、やる気は出てくるのでしょうか? それとも、これは放置なのでしょうか?

塾長の聞き返し

「やる気が出たらやる」と言っているのは、息子さんですか? それとも、お母さんがそう思っているのですか? そして、これまで、やる気が出て、自分から始めたことはありますか?

本人が言っています。自分から始めたことは、ほとんどありません。

塾長の答え

1. やる気は、動き始めてから出てきます

結論から言います。やる気は、動き始めてから、出てくるものです。

やる気が出るのを待っていても、なかなか出てきません。「やる気が出たらやる」は、順番が逆なのです。

ですから、やる気がなくても、全然かまいません。 やる気のない子は、いくらでもいます。でも、やってみて、やる気が出なかった子は、いません。やってみれば、みんな、やります。

これは、第4問で書いた「待つ」とは、別の話です。第4問は、怒って動かすのをやめたあとの関わり方の話でした。この回は、やる気という「気分」を、動く条件にしない、という話です。

2. ことばこでは、気分を聞きません

気分が乗らない日の子に、ことばこでは、どう始めてもらっているか。

何も言いません。ただ、やります。 Just do it です。

「今日は、やる気ある?」とは、聞きません。気分を聞くと、その気分に、振り回されるからです。やる気がなくてもいいので、ただやりましょう、というスタンスです。

もちろん、例外はあります。たとえば、友達とけんかをして、まだ収まっていない子。親と言い争って、興奮がさめていない子。どうしても、話を聞いてほしい状態の子には、先に、話を聞きます。その状態で、勉強に入るのは無理だからです。

それでも、基本は、ただやる。気分は、あまり聞きません。

「やりたくないなら、帰りなさい」と言うこともあります。他の子の邪魔になるときです。やる気があるかどうかではなく、周りの人の邪魔をしないことが、条件です。やる気がなくてもいい。でも、ただ、やるのです。

3. 「今日はやりたくない」と言う子

「今日は、やりたくない」と言う子は、ことばこでは、そもそも、ほとんどいません。

もちろん、「今日は、ここまでにしたい」という子は、います。そのときは、そもそもの計画を、もう一度、考え直します。 一日にやる量を、減らしてもいいのです。

小学生の場合は、特に、よくあります。学校の勉強で、そこまで困っていないからです。そのときは、「最低限、ここだけ、納得できる範囲で、やっていこう」と、ミニマムの量にします。実際、そういう子は、そこまで困る状態にはなりません。本人が納得できる範囲内でやれば、十分です。それ以上やらせようとすると、かえってマイナスになります。

中学生になると、そういうことは、ほぼありません。みんな、点数が欲しいからです。

4. 「やる気がない」で、本当に困っているときは

もし、「やる気がない」という状態で、本当に困っているのなら、勉強以外の何かが、うまくいっていない可能性があります。たとえば、親子関係がもつれている。周りの人の声かけが、うまくいっていない。

これは、本人の問題ではなく、環境設定の問題です。環境さえ変われば、やります。人は、置かれている状況に、大きく左右されます。環境が人を作る、と私は思っています。

そういう子ほど、環境が変わると、はっきり変わります。状況がよくない子ほど、変わり方が大きいと感じます。

ただし、二つ、お伝えしておきます。

一つ目。環境が整っても、そこへ向かおうとしない、自分がよくなろうとすること自体を、あきらめてしまっている状態まで進んでいる場合は、塾の領域ではありません。病院などの専門家に、相談してください。 その手前で、来てもらえれば、変わります。

二つ目。親御さんが変わらないと、お子さんも変わりにくいということです。「自分のコントロールの範囲内で育てたい」という気持ちが、どうしても手放せない場合は、お子さんも、変わることが難しくなります。親子は、連動しているからです。

ですから、「やる気がない」と悩んだら、早めに、ご相談ください。

最後に

今日からできることは、三つです。

  1. 「やる気が出たら」を待たず、できる範囲で、一つだけ始めてみる
  2. 気分を聞かず、ただ、やる。ただし、話を聞いてほしい日は、先に聞く
  3. やる気のなさで悩んだら、勉強以外の環境に、目を向ける

勉強ができること以上に大事なのは、「自分には、課題を乗り越えていける力がある」という自信です。アドラー心理学では、この力を支えることを「勇気づけ」と呼びます。

やる気は、待つものではなく、動いたあとに、ついてくるものです。動き始められる状況を、整えてあげる。 それが、待つことと、放っておくことの、違いです。

塾長コラム ─ 学習塾ことばこ 塾長(国語科教員10年・学習塾個別指導12年)

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